第80話(97/10/10 ON AIR) | ||
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『READY?』 | 作:飛鳥たまき |
(午後11時すぎ。健太郎の部屋。 音楽、鼻歌。チャイムが鳴る) |
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健太郎 |
「?……誰だ、こんなに遅く…」 |
京子 |
「わたし、京子」 |
健太郎 |
「…どうした?」 |
京子 |
「ワイン。お祝い」 |
健太郎 |
「?…入れよ」 |
健太郎 |
「祝いって?俺?」 |
京子 |
「?…健太、お祝いするようなことあった?」 |
健太郎 |
「う、うん、ふふ…」 |
京子 |
「何よ、その笑い」 |
健太郎 |
「京子こそ何だよ。結婚でも決まったか?」 |
京子 |
「……別れた」 |
健太郎 |
「!別れた?」 |
京子 |
「十日前」 |
健太郎 |
「……おいおい…それでワインか?…」 |
京子 |
「ちがうよ……」 |
健太郎 |
「………よかったな」 |
京子 |
「よかったって何よ。ひどいじゃない」 |
健太郎 |
「うん。あいつは、京子にはあわない。いい |
京子 |
「……………健太は?いいことある?」 |
健太郎 |
「俺?あるよ。11月転勤」 |
京子 |
「えっ?!………」 |
健太郎 |
「今日、内示があった。新しいプロジェクト |
京子 |
「それって、健太がやりたかったこと?」 |
健太郎 |
「そう」 |
京子 |
「ロボット?」 |
健太郎 |
「そう」 |
京子 |
「すごーい。すごいじゃない。健太、ロボッ |
健太郎 |
「『鉄腕アトム』みたいなロボット、夢だよ |
京子 |
「乾杯、乾杯。はやく、グラス、グラス」 |
京子 |
「おめでとう!」 |
健太郎 |
「サンキュウ」 |
健太郎 |
「まるで『アトム』完成したみたいだな」 |
京子 |
「いよいよ一歩踏み出すか、健太も」 |
健太郎 |
「も、って?」 |
京子 |
「ふふ……わたしも」 |
健太郎 |
「なんだ、なんだ、どうしたんだ?」 |
京子 |
「うん。わたし……ずっと考えてたの」 |
健太郎 |
「考えてた?京子が?」 |
京子 |
「ちゃかさないで。……考えてたの、ずっと |
健太郎 |
「で?」 |
京子 |
「彼と別れた。会社辞めた。やっぱり、写真 |
健太郎 |
「えっ……おい、待てよ……」 |
京子 |
「ウズベク」 |
健太郎 |
「ウズベク?」 |
京子 |
「そう、来年、ウズベクにいくの」 |
健太郎 |
「……」 |
京子 |
「あーーっ、『おめでとう』言ってくれない |
健太郎 |
「……急にそんなこといわれても……おめ |
健太郎 |
「京子はいつだってそうだよな……いつだっ |
京子 |
「そうだった?」 |
健太郎 |
「何するのも突然だったー」 |
京子 |
「考えて、考えて、やってんだけどな」 |
健太郎 |
「そういえば『迷ってるんだけど…』って相 |
京子 |
「そんなことないよ、『どう思う』って健太 |
健太郎 |
「結論はいつも出てたけどな」 |
京子 |
「だって、決めるのは結局、自分だもの。健 |
健太郎 |
「俺は、結構、優柔不断さ。悲しいかな」 |
京子 |
「うっそー、相談受けたことないよ。受験の |
健太郎 |
「…………行ってしまうのか…ウズベク」 |
京子 |
「うん。どれくらいやれるかわかんないけど |
健太郎 |
「人間を撮りたい、地球の人間をみんなフィ |
京子 |
「レンズ覗かないと見えてこないんだ、わた |
健太郎 |
「…落ち込んでても写真集みせると元気にな |
京子 |
「そう。知らないでしょう。ふふふ…ファイ |
健太郎 |
「魔法使いか…京子の写真、普段の京子とギャ |
京子 |
「健太も?」 |
健太郎 |
「夢だもんな」 |
京子 |
「健太は『鉄腕アトム』を作る」 |
健太郎 |
「京子はいろんな国のいろんな人を撮る」 |
京子 |
「乾杯しよう」 |
京子 |
「乾杯!」 |
健太郎 |
「乾杯!」 |
京子 |
「健太、楽しみにしてるからね」 |
健太郎 |
「まかせとけ。弱音吐いたりしたら、京子に |
京子 |
「そうよ、一年後、二年後かな。帰ってきた |
健太郎 |
「一年でも、二年でも、納得いくまで写真撮っ |