- (モザイクガーデン三階の渡り橋に立つジャン。遠くのべべ、あるいは太陽、あるいは風に向かって叫びかけるように)
- ジャン
- べべ・・・・・
べべ。君を想うだけで
ぼくの胸は嵐のように波立つ
べべ。君の名前をつぶやくだけで
ぼくの胸は喜びにあふれる。
べべ、べべ・・・・・
同じ太陽を浴び
同じ風に吹かれ
同じ雲をみよう
- (モザイクガーデン二階太陽通りの中央に立つべべ。空をあおいで、つぶやくように)
- ジャン
- 雲はどうして光るんだろう。
風はどうして歌うんだろう。
愛はどんな形?
永遠はどれくらいの長さ?
頬をすぎる風にそっとつぶやく。
刻む時に想いを紡ぐ。
あ・い・し・て・る。
- (ジャン、べべを見つけ、橋の上から叫ぶ)
- ジャン
- 「べべ!」
- (ジャンの叫ぶ声に橋をみあげる)
- べべ
- 「ジャン!」
- (サンタクロース、通りを行く人に声をかける)
「メリー クリスマス! メリー クリスマス!」
- (ジャン階段をとぶように降りてくる。息を切らせている)
- ジャン
- 「・・・・・べべ・・・・・探してたんだ、ずっと・・・」
- べべ
- 「私はここ。いつだって、あなたの目の前にいるわ」
- ジャン
- 「君はいつも突然かき消えたようにいなくなる」
- べべ
- 「やだ。ずっとここにいたのよ」
- (ジャンべべを正面からみつめる)
- ジャン
- 「そして・・・突然、現れる!」
- べべ
- 「クリスマス。ここはクリスマスよ」
- (太陽通り、クリスマス)
- 男
- 「オルゴールはいかがですか、お嬢さん」
- 女
- 「愛してるっていったのよ、あの人は」
- 男
- 「恋人たちがくるくる回ってダンスをするオルゴールはいかがですか」
- 女
- 「いつまでも、いつまでも愛するっていったのよ」
- 男
- 「それとも、おどけたピエロのオルゴール?」
- 女
- 「愛はどんな形?永遠はどれくらいの長さ?」
- 男
- 「オルゴールはいかがですか、お嬢さん。愛を紡ぐオルゴールはいかがですか」
- (太陽通りの雑踏。思い思いに店をのぞきながら)
- べべ
- 「かわいい花屋さん。小さな人のちいさな家に飾るのね」
- ジャン
- 「あったかそうな帽子・・・・・べべにはこの黄色がいいかなあ」
- べべ
- 「・・・光ってる・・・さすがクリスマスピアスね」
- ジャン
- 「・・・マフラー・・・手袋のほうがいいかな、べべの指先、冷たいもんな」
- べべ
- 「・・・ブーツ。ダークブラウンのバックスキンよ・・・
・・・ネックレス、黒いセーターにぴったりよね・・・
・・・おしゃれなカード・・・ふふふ・・・サンタクロースだって南の国では暑いわ・・・
・・・あれ?あれっ・・・」
- (べべ、ジャンがいないのに気づく)・・・・
- べべ
- 「ジャン・・・・・・ジャン!」
- (ジャン、アイスクリームを両手に走ってやってくる)
- ジャン
- 「はい、べべにはブルーベリーミルクアイスクリーム」
- べべ
- 「ジャンにはラムレーズンアイスクリーム」
- (二人、腕を組んで歩きながら)
- べべ
- 「雪になるかしら」
- ジャン
- 「しんしん降るといいね」
- べべ
- 「海にも降るかしら」
- ジャン
- 「山にも降るよ」
- べべ
- 「街にも降るかしら」
- ジャン
- 「クリスマスにも降るよ」
- (べべ、急に組んでいた腕をほどいてショウウインドウへかけよる)
- べべ
- 「ジャン、見て見て。この黄色と青のダイビングウエア」
- ジャン
- 「オーケイ!南の海で熱帯魚になるぞ」
- べべ
- 「わたしは、真っ黒ウエア。海の底でかくれんぼしよう」
- ジャン
- 「(髪飾りをみつけて)べべ、べべ、こっち、こっち・・・・この髪飾り。べべによく似合うよ」
- べべ
- 「あー、髪を長くしておくのだったわ。来年、来年のクリスマスまで、とっておくわ」
- (サンタクロース、通りを行く人に声をかける)
「メリー クリスマス! メリー クリスマス!」
- (光の広場。柵にもたれて、モザイクガーデンを見下ろす二人。ジェットコースターの音。叫び声。メリーゴーランドのまわる音、メロディ、ゆっくり遠のいていく)
- ジャン
- 「メリーゴーランドに一人で乗ると、ぐるぐる回りながら、知らない所につれて行かれてしまうって」
- べべ
- 「こわいわ」
- ジャン
- 「愛し合う二人で乗ると、帰って来られるって」
- べべ
- 「ジャンとべべのように?・・・よかったわ」
- (遊園地の雑踏、メリーゴーランドのメロディ・・・だんだん大きくなる)
- ジャン
- 「(メリーゴーランドに呼びかける)メリーゴーランド! お前の愛の木馬、ゴーゴーと回せ!」
- (サンタクロース、鐘を鳴らしてパーティの始まりを告げる)
「レディース&ジェントルマン!・・・・・・・・・・」
- べべ
- 「パーティが始まるわ」
- (ジャン、踊り始める)
- ジャン
- 「踊ろう!クリスマスだよ」
- (ジャン、べべの手をとり踊り始める。パーティーの賑わいのなかにはいっていく。ジャンパンをぬく音、クラッカーの弾ける音・・・)
- べべ
- 「メリー クリスマス!」
- ジャン
- 「メリー クリスマス!」