- 高校生の恋人ふたり。帰り道。
- 女
- じつはね、わたし、宇宙人なの。
- 男
- えっ
- 女
- そうだよね。ゆきちゃん驚くと思った。でも、ふざけてるんじゃないの、本当。本当なの。
- 男
- う、うん。
- 女
- 本当は、あの時に言おうって、言おうって思ったんだけど、
でも、言えなくて、言えなくて、言えなくて・・・「好き」って言っちゃった。
- 男
- えっ、言っちゃった?
- 女
- うん。あーっ。でもでも、ゆきちゃんのこと好きなのは本当。
もう大好き! ずっと前から、すごく好き。
でも、あの時もっと言いたかったのは、私が、第八惑星海王星出身の宇宙人だってこと。
- 男
- え、うん、ええ?
- 女
- ね、わたしたち、高校三年生じゃない?
- 男
- う、うん。
- 女
- 来年は、違うユニバースにいくじゃない?
- 男
- え? ユニ・・・ユニバーシティのことかな。
- 女
- それは大学でしょ。私のは宇宙。海王星にね、できたんだって新しい学校。
うん、大学っていっていいかも。すごく面白い分野をやるんだって。
それでね、良純先生が出してくれたの、指定校推薦。
たぶん、それで決まる。わたしの進路。
- 男
- えーっと、ちょっとまって。つまり、宇宙で、大学が決まったの。
- 女
- うん。ここじゃない。地球じゃない。ゆきちゃんは・・・、地球、だよね。やっぱり。
- 男
- 地球っていうか・・・青木大学受験するつもりだけど・・・
- 女
- すぐ近くじゃん!
- 男
- 近くがいいかなって! っていうか、清田もそこ行くって思ってたから!
- 女
- ごめん・・・。やりたい分野が、そこにしかなくて。
- 男
- いや、いいんだよ。やりたいことは、やるべきだよ。
- 女
- ありがと! ゆきちゃんは、そういってくれると思ってた!
私の肌の色が、水色だってことも、ぜんぜん気にしなかったし。
- 男
- 肌の色は、関係ないよ!
- 女
- うん!だよね!
- 男
- えー・・・っと・・・それで・・・清田は、宇宙人なんだ。
- 女
- そう。ふふ。ゆきちゃん、驚くと思った。川田は笑ってたんだけど。
- 男
- え、か、川田は知ってるの?
- 女
- 結構前からね。
- 男
- え、なんで、なんで川田に先言ったの?
- 女
- 言ったんじゃないよ、聞かれたから。おい、なあ、もしかして清田って宇宙人なのって。
- 男
- ええっ
- 女
- お昼休みにコーラ飲みながら。
- 男
- えっええ? なんだよそれ。
- 女
- うん、そうだよーって答えた。
- 男
- なんだよ、なんで川田教えてくれなかったんだよ。おれ、川田に相談してたんだよ、
清田に告白しようかって。そしたら、いけいけって、あいつ。
- 女
- えっ、それいつの話?
- 男
- 清田が告白してくる前の日。
- 女
- あははは。じゃあ私、タイミングよかったんだ!
- 男
- よかったよ、最高だったよ、俺の気持ちバレてたのかと。え!もしかして、テレパシーとか・・
- 女
- ないない、宇宙人だけど、そんなのできない。
- 男
- そ、そっか。だよな、あのとき、泣いてたし。
- 女
- 忘れてよー。もう! だって両思いなんだよ。奇跡じゃん。
- 男
- うん・・・え! ちょっとまって良純先生推薦って、良純先生も知ってんの?
- 女
- もちろん!担任だよ。
- 男
- え、じゃあ俺だけ? 俺だけ知らなかったの?
- 女
- うん。ゆきちゃんだけ。気にしなかったの。私が、どこからきたかなんて。
- 男
- えー・・・
- 女
- ねえ。来年、わたしたち別々だね。遠距離恋愛できるかな。
- 男
- できるよ!関係ないよ、距離なんて。
- 女
- 何億光年離れてるか知ってるの?
- 男
- 知らないよ! でも、ビューンだよ、ビューン。
- 女
- あははは、そうだよね。ビューンだもんね。
- 男
- ビューンだよ! 会いにいくよ!なんだよ、もう!
- 女
- あはは。
-
おわり