女

全然、自分に自信が持てないのだけど、ちょっとあれだ、克服できそうにない

男

うん

女

もし、本当に生まれ変わったりできるんだったら、
来世では克服できたら、っていうか初めから自分に自信がある人生だったらいいな

男

そっちの方がいいね

女

でも、私だってあれだよ、なにもせずに諦めたわけじゃないよ。
克服するために、いろいろしてみたりしたんだけど、その結果、これは無理だって、
克服できないって思ったんだよ。そのことはわかってほしい

男

うん

女

別にさ、好きでさ、自分に自信持てないってわけじゃないんだから。
自信持てるんだったら、自信持ちたいんだから

男

うん。それは、わかるよ

女

なんでそんな馬鹿にしてるような顔で私のこと見てくるの？

男

え、馬鹿にしたような顔してないよ

女

あれ、私、泣いてない？

男

え、あ、うん。泣いてる

女

どうして、私、泣いてるんだろう

男

どうしてだろうね

女

ほんと情けないな。泣いてる理由もわかんないのに泣いて。馬鹿みたい

男

僕は、でも、泣いてる理由、わからなくもないよ

女

え、じゃあ、どんな理由？

男

ごめん。でも、うまく言葉にならない。けど、なんとなくわかるよ

女

そっか

男

うん

女

私、面倒くさくない？　急に泣いたりなんかして

男

いや、面倒くさいって思わないけど

女

私のこと嫌ってほしいわけじゃないのに、
なんでこんな話してるのか自分でもわからない。でも、私はこんなだから

男

うん

女

いいの？

男

うん。いいよ

女

そうなの？

男

うん

女

こんななのに、私のこと好きなの？

男

うん

女

私、私のこと好きじゃないよ

男

うん

女

私、私のこと好きじゃないんだよ

男

うん

女

一生懸命好きになろうとしたけど、無理だったんだよ。
克服できないな、これはって、諦めたんだよ

男

うん

女

面倒くさいよ、私は

男

いや、それは、僕はそんな風には思ってないけど

女

いいの？

男

いいよ

女

じゃあ、どうにかしてほしいんだけど

男

じゃあって？

女

好きなら

男

あ、うん

女

どうにかしてほしいんだけど

男

どうにかって？

女

どうにかしてほしい

男

え、うん

女

うんって、私がどうしてほしいって思ってるかわかってるの？

男

ううん。ごめん。わかってなかった

女

私に私のこと好きにならせてほしい。そんなの自分の問題なんだから
自分でどうにかしろって思わないで、ならせてほしい

男

うん

女

うん、じゃなくて

男

え？

女

僕に任せろとか言えないの？

男

うん。わかった。僕に任せろ

女

うん

男

僕に任せろ。僕に任せろ。僕に任せろ

女

うん

――終わりです。