- 人気音楽番組の楽屋。鬼龍院がかっこつけて緊張している。
- 鬼龍院
- もうすぐ本番か…!ハッ!俺としたことが、緊張で手が震えてやがるぜ…!
- かまいたち
- 鬼龍院さん、もうすぐ出番ですよ。
- 鬼龍院
- わかっている…!この震えが静まれば、俺の歌唱力が牙を剥くだろう。
- かまいたち
- えっ。
- 鬼龍院
- なんだ。
- かまいたち
- いうほどのことでは。
- 鬼龍院
- いいから言え。
- かまいたち
- 鬼龍院さん、そんなに歌唱力なくないですか。
- 鬼龍院
- 言うな!
- かまいたち
- そもそも歌詞もほぼほぼ聞きとれませんし。それなのに歌唱力て。
他の歌手をバカにしてるんですか。
- 鬼龍院
- していない!みんなすごいなと思ってる。
- かまいたち
- そういう謙虚なところ、いいと思いますよ。
- 鬼龍院
- かまいたち…。アイスコーヒーを買ってきてくれないか。ブラック、無糖で。
- かまいたち
- わかりました。
- かまいたち、出ていく。
- 鬼龍院
- ふふ…落ち着け、俺…。今日のステージでも最高のパフォーマンスを見せるぜ。
それは、自分自身に対する約束…。
- かまいたち
- 買ってきましたよ。ほら。(投げる)
- 鬼龍院
- サンキュー。(受け取って)あっつ!あっつ!
- かまいたち
- 何踊ってんですか。
- 鬼龍院
- 踊ってない!これホットじゃないか!
- かまいたち
- ええ(YESの意)。
- 鬼龍院
- ええじゃない!アイスコーヒーって言っただろ?
- かまいたち
- 言いました?
- 鬼龍院
- 言ったよ!しかもこれ、ミルクティーじゃないか!!
なんでアイスコーヒーのブラック頼んで、
ホットの甘いミルクティー買ってくるの、お前は!
- かまいたち
- 自分が飲みたかったからでしょうね。
- 鬼龍院
- それでもマネージャーなのか!
- かまいたち
- あっ、スタッフさんが呼んでる。出番ですよ。
- 鬼龍院
- ああ!
- かまいたち
- 期待してます。
- 鬼龍院
- 後で見てろ…!
- 鬼龍院の出番が終わる。
- 鬼龍院
- ふう。
- かまいたち
- お疲れ様でした!
- 鬼龍院
- 神がかっていた。今日の俺は…!
- かまいたち
- いつも通りでしたよ。さ、次の現場行きますよ。
- 鬼龍院
- もっと自分の担当するアイドルを持ち上げられないの?お前は…。
- 二人、外へ出る。
- 鬼龍院
- …ふう、街は平和だな。
- かまいたち
- はっ。
- 鬼龍院
- どうした。
- かまいたち
- あの自販機の陰にいる子。ずっとこっち見てるんですよ。
- 鬼龍院
- ファンだな。
- かまいたち
- 見たことある気がする…。
- 鬼龍院
- やあ、いつも応援ありがとう。
- かまいたち
- 思い出した!あの人ですよね、
去年のクリスマスに鬼龍院さんがほら、街で声かけられて、二人で夜の街にほら、
いやらしい感じで消えてった人!
- 鬼龍院
- えっ?
- かまいたち
- ね、そうですよね?一緒に街に消えてった人ですよね?いやらしい感じで!
- 鬼龍院
- やめろ!人が見てるじゃないか!じゃあね、バイバーイ!
…お前ね!そういうこと言うの、ダメだよ?マネージャーとして。
- かまいたち
- すいません。シナプスつながったから大声出しちゃって。
- 鬼龍院
- この愚民め…!ああ、腹が減った。
- かまいたち
- あの店入りましょう。予約しときました。
- 鬼龍院
- そうなの?いつの間に?
- かまいたち
- 今、心の中で。
- 鬼龍院
- 心の中でじゃダメだよ、お前…。
- 店の中。
- かまいたち
- どれにします?
- 鬼龍院
- どれもうまそうだ。決められないな。
- かまいたち
- なるほど。(店員に)すいません!メニューに載ってるやつ、全部お願いします。
- 鬼龍院
- ええっ!!
- かまいたち
- 一度やってみたかった。
- 鬼龍院
- 食べきれないだろ!
- かまいたち
- 大丈夫、持って帰りますんで。これで一か月分の食費が浮きましたよ。
- 鬼龍院
- 俺は払わないぞ!
- かまいたち
- 困ったなあ。今千円しか持ってないんです。二人で留置所、入りますか。
- 鬼龍院
- こんちくしょうめ!!
- かまいたち
- まあそう怒らないでください。僕は半年後、この世にいないのだから。
- 鬼龍院
- えっ?
- かまいたち
- 先日、体の調子がおかしくて病院に行ったらそう言われて…。
- 鬼龍院
- そんな…!
- かまいたち
- という夢を見たんですよね。
- 鬼龍院
- 夢かよ!お前は100まで生きるよ!
- かまいたち
- 伊集院さんもね!
- 鬼龍院
- 鬼龍院だよ!
- 終わり。