- 女
 
        - あ、山田みーっけ!
 
        - 男
 
        - 青木! ちょ、くるの早いよ!
 
        - 女
 
        - えー。だって話があるから来いってゆったの山田じゃん。ってか山田さ、授業中に
            ライン送んないでよね。てかさ、さっきの授業いなかったよね。どこ行ってたの?
            授業さぼってなにしてたの…って、なに、なんで泣いてんの! 
        - 男
 
        - 僕は!授業をさぼって、リスクヘッジしてたんだ!
 
        - 女
 
        - え? リスクヘッジ? なにそれ。
 
        - 男
 
        - 起こるかもしれないリスクの大きさを予測して体制を備える。リスクヘッジだよ。うう。
 
        - 女
 
        - お。おお?
 
        - 男
 
        - 僕はこれから大きなリスクをとるつもりなんだ。だから、最悪の場合を考えて、
            そのショックに備えていたんだ!  
        - 女
 
        - それと私となんの関係があるの。
 
        - 男
 
        - 関係おおありだ!
 
        - 女
 
        - おおあり? えっ、どうしよう!
 
        - 男
 
        - そう、青木、君の存在は僕のリスク以外の何者でもない!
 
        - 女
 
        - えっ、わたし何か悪いことした?
 
        - 男
 
        - …してない!
 
        - 女
 
        - よね、だって私たち、いい友達だもんね!
 
        - 男
 
        - …いい友達?
 
        - 女
 
        - 親友ってやつ?
 
        - 男
 
        - …し、しんゆう…ちょっとまて、さらなるリスクヘッジが必要になったから。
            (ブツブツ) まさか親友とまで思われていた俺。友としての最高ランクじゃないか。
            その信頼を裏切り孤独に落ち入る俺。最悪気持ち悪いって言われる俺。辛い。辛すぎる。うう。 
        - 女
 
        - は? 一体なんのリスクに備えてんの、山田!
 
        - 男
 
        - 俺は、俺は耐えられるのか、このリスクに!このリスクに!
 
        - 女
 
        - 山田! しっかりして! 私に話があるんでしょ! 大変なことなんでしょ! なんなら私も一緒に
            リスクヘッジってのするから! 一人じゃ耐えられないことも、私がいれば大丈夫! 
        - 男
 
        - …確かに、君がいれば、大丈夫だ…。
 
        - 女
 
        - でしょ! 一緒に乗り越えよう山田! ばっちこいリスク! さあ、言って! さあ!
 
        - 男
 
        - …好きです。
 
        - 女
 
        - え。
 
        - 男
 
        - 君が、好きです。
 
        - 女
 
        - 友達としてじゃなくて…?
 
        - 男
 
        - …全部、全部ひっくるめて…!
 
        - 女
 
        - …ず、ずるい。私もリスクヘッジする時間、欲しかった。
 
        - 男
 
        - やっぱり・・・。
 
        - 女
 
        - 今、死にそうなんだけど。嬉しくて!
 
        - 終わり。