- 時計が小さくなっている。
真夜中である。彼女は最近一人暮らしを始めた会社員である。
- 彼女
- 夜中の三時。眠れなくて目が覚めた。いつもの事である。
私はジョニーにくるまる。柔らかくて暖かい。中身は フェザーのお布団ジョニー。
ねえ、ジョニー聞いて。
- おふとんが喋りはじめる。
低くて深くて潰れた声。とてもいい声である。
- ジョニー
- Oh 眠れないのかい。小鼠ちゃん。かわいそうに。
- 彼女
- また上司にいやな事言われちゃった。
- ジョニー
- OH god,,,好きなことを言わせておけよ。
- 彼女
- でもジョニー。あいつったら、あたしのことバカにするのよ。
- ジョニー
- my sweety honey どんなふうにバカにするんだい。
- 彼女
- あのね、あたしね、パワーポイントを使うの、苦手なのね。
- ジョニー
- Power Point! そ、それはいったい、、、!
- 彼女
- ジョニー知らないの? パワーポイントよ。
- ジョニー
- Oh honey お布団の世界にはそんなポイントはないんだよ。
なんて素敵なんだ君の暮らす世界は。つまり、君は、そこにゆけば、
パワーがもらえたり、パワーアップしたり、しちゃうんだろう?
- 彼女
- ふふふ。何にも知らないのね。お布団ジョニー。
- ジョニー
- そう、僕は、
- ここからおふとんは歌い始める。
- ジョニー歌
- なんにも知らないのさ、sweety。
僕はただ、君をくるめるお布団ジョニー。
思い出すのは、小さな頃の君。
けとばされては、なんども戻る僕。
あの頃は僕が海にも秘密基地にもなれたのに、
君はすっかり、大人になって
朝になったら、僕の知らない、世界へ。
- 彼女
- ああ、眠たくなってきた・・・あなた相変わらず歌がうまいのね。
- ジョニー
- fufu..君のママには負けるよ。
- 彼女
- パワーポイントっていうのはね・・・むにゃむにゃ・・・
ああ、でももうどうでもいいわ。そうだわ。ジョニー。
あなたがあたしのパワーポイントよ。おやすみジョニー。
- ジョニー歌
- Oh sleepy sweety honey . 朝までの君を、僕に任せて。
そう、僕は、お布団ジョニー。good night ….
- おしまい。