――放課後。
あのさ、あの、えっと、あの
もう、なんなん
いや、ごめん
なんか言いたいことがあるから、呼び出したんやろ
うん。せやねんけど
ほんなら言いや
あのさ、俺、あの、ずっと、ずっと、す、好きやねん。君のこと
うん
だから、好きやから、付き合ってほしくて。あ、いや、あのー
え?
いや、ごめん
なに?
やっぱり、今のなし。ごめん。聞かんかったことにして
え?
聞かんかったことにしてほしい
いいけど、別に
ごめん
え、私のこと好きで、付き合ってほしいっていうやつやんな?
うん
いいけど、別に
うん、ごめんな
いいけど。別に。告白してみたけど、やっぱり好きじゃなかった?
いや、そういうわけじゃないねんけど
断られるの怖くなった?
それも違う
ふーん。いいけど、別に、聞かんかったことにしても
ごめんな。ほんまごめんな
なんやねん。むかつくな
時間返して欲しいわ。ずっとずっと言い出すの待ってたんやで、私。それやのに、
なかったことしてって。むかつくむかつくむかつく
ごめん。ほんまごめん。なんか、あのな、告白しながら、嫌やろうなって思ってん
は?
俺から告白されんの嫌やろうなって
は?
俺、だってクラスでもパッとせんし、ずっと秘かに想われてるっていうのも気持ち悪いと思うけど、
でも、どうせ告白されるんやったら、俺よりもっとかっこいいやつからされた方が嬉しいやろうし。
だから、俺から告白されんの嫌ちゃうかなって。気持ち悪いんちゃうかなって
別にそんなことないけど
え、そうなん?
呼び出されたときから、なんとなくどんなこと言われるかわかってたし。
告白されるんやろうなって。告白されるん嫌やったら、最初から適当に理由作って帰ってたわ
うん。あ、そっか
私、素直にずっと待ってたんやで、言い出すまで
うん
もういいけど
うん
聞かんかったことにするけど
帰るわ、私。え、帰ってもいいよね?
うん
じゃあ、バイバイ
バイバイ
――女、帰る。
あ、ちょっと待って
――女、立ち止まって、振り返って、
もう、なに
――終わりです。