- 暖冬の大阪城公園。壁に向かってナオミとたつやが漫才の練習中。
- ナオミ
- それが人類の進化やで!
- たつや
- やめさしてもらうわ!
- ふたり
- ありがとうございましたー!
- ナオミ
- ふう。だいぶ形になってきたわね。
- たつや
- 大丈夫。
- ナオミ
- これでM1の一回戦は楽勝ね。
- たつや
- それなんだが・・・。
- ナオミ
- 何?
- たつや
- 僕にはそう思えないんだ。
- ナオミ
- どうして?!これは私が書いた中でも最高傑作よ?
- たつや
- そう、いつだって最高さ、君が書けば・・・
- ナオミ
- じゃあ・・・。
- たつや
- 僕は好きなんだが・・・。それはなぜかというと、君が好きだからなんだが・・・。
- ナオミ
- 聞かなかったわ。
- たつや
- 今日も聞かなかったのかい。
- ナオミ
- だって・・・。
- たつや
- わかってるよ。君は、漫才と結婚した女。だけど僕は君をあきらめきれなくて
こうしてコンビを組んだままでいる・・・。はは・・・笑えよ・・・。
- ナオミ
- 笑えないわ、そんなネタ・・・。練習しましょう。
- たつや
- 僕にできるのは練習だけだ。
- ふたり
- はいどうもー!
- たつや
- 違う違う!!このネタではダメだって話してたんだった!
- ナオミ
- そうだったわ。何がだめなの?
- たつや
- なんていうか・・・このネタ、僕がクロマニオン人で
君がネヤンデルタール人なんだけど・・・。
- ナオミ
- ええ。
- たつや
- 例えば君のセリフ、「君の下あごは頑丈やね?」に対しての僕のつっこみ、
「それじゃネヤンデルタール人やないか。」みんなそんなにネヤンデルタール人について
知らないと思うんだよ。
- ナオミ
- そんな!じゃあ、このネタなんて火にくべなければならないわ!
- たつや
- 君のネタはマニアック・・・。
- ナオミ
- どうしたらいいの・・・。ビルから飛び降りればいいの・・・?
- たつや
- 君がビルから飛び降りた時、直後にビルから飛び降りたものがいる。
それは誰だ?僕さ・・・。
- ナオミ
- やめて・・・。
- たつや
- すまない・・・。
- ナオミ
- 漫才のことを考えましょう。
- たつや
- そうだね。いやまずね、おそらく世間一般的に言えば・・・漫才師でもなんでも、
男女がコンビを組んでいるとまず二人が付き合ってるのかどうかが気になると思うんだ。
- ナオミ
- そんな俗な。
- たつや
- いやでも、そこはっきりさせてくれないと、落ち着いて漫才なんて
聞いていられないものだよ。
- ナオミ
- そうなの?じゃあ、「はいどうもー!付き合ってませんよ!」から始めるといいのかしら?
- たつや
- スッキリするね。あと、付き合ってないのなら、その理由も知りたくなるよね。
- ナオミ
- なるほど・・・。
- M1一回戦会場。
- ナレーション
- 次はエントリーナンバー111「ヨーグルト・ヨーグルト」です。
- ふたり
- はいどうもー!ヨーグルト・ヨーグルトです!
- ナオミ
- 付き合ってませんよ!
- たつや
- なんでやねん!
- ナオミ
- だってコンビやのに付き合うとか、ないじゃないですか!
- たつや
- じゃあ、嫌いじゃないってことなんかい・・・?
- ナオミ
- 当たり前やんか・・・。
- たつや
- そうなんかい!
- ナオミ
- 寝ても覚めてもあんたのことばっかりやで・・・。
- たつや
- そうなんかい!
- ナオミ
- でも付き合われへんわ!
- たつや
- なんでやねん!
- ナオミ
- それはさておき、最近私ね、気になることがあってね・・・。
- たつや
- さておくんかい!
- ナオミ
- (ナレーション)こうしてM1一回戦で落ちました。でも客席からは、
「付き合ったらええやん!」という声が届き、審査員の先生からも
「付き合ったらいいと思うよ。」との声をいただきました。これからも漫才、がんばるぞ!
- 終わり。