- ――ラジオブースで。
- のたに
- 合田さんの台本って、いつもこんな感じ?
- 坂本
- こんな感じってなんですか?
- のたに
- 坂本君はなんとも思えへんの?
- 坂本
- なにがですか?
- のたに
- 言うの恥ずかしい台詞がいっぱいある
- 坂本
- たとえば、どれですか?
- のたに
- 『私、君のことが今まで生きてきて一番好きやから、一緒にいられる今が一番幸せ』とか
- 坂本
- あー、確かに。でも、この人のはいつもですよ。上手に青春送られへんかったから、
 こういう青春送りたかったなっていうのを台本にしてるって言ってました
- のたに
- そうなんや。だから夢見がちな台詞ばっかりなんやな
- 坂本
- そうみたいですね
- のたに
- 坂本君、収録が始まるまで、練習付き合ってもらってもいい?
 私、慣れとかんと無理やわ、恥ずかしくて
- 坂本
- もちろん。あ、のたにさん、のたにさん、その前にちょっといいですか?
- のたに
- ん、なに?
- 坂本
- この前、私もうおばさんやから、みたいなこと言ってたじゃないですか。
 僕は全然そんなことないと思ってます
- のたに
- あ、そう。お世辞でも嬉しいわ。ありがとうね
- 坂本
- お世辞ちゃいますよ。あの、全然かわいいと思ってます。かわいいし、あの、綺麗です
- のたに
- ようそんなこと言えるな
- 坂本
- いや、本当に思ってるから言えるんですよ。思ってなかったら言えないです。
 ほんと、あの、のたにさんは、見目麗しいな、と
- のたに
- やめてやめて。恥ずかしい恥ずかしい
- 坂本
- のたにさんは、自分でおばさんって言うかもしれないですけど、僕は認めないです。
 のたにさんくらい綺麗な人、他に知らないです
- のたに
- やめてや。ほんまに
- 坂本
- え?
- のたに
- 恥ずかしいからさあ。坂本君は恥ずかしくないの?
 スタジオにおるみんなに笑われても知らんで
- 坂本
- 聞こえてないですよ、スタジオの方には。カフ下がってるんで、あっちには声言ってないです
- のたに
- あ、そっか
- 坂本
- それに笑われても、別に気にしないです。さっきも言いましたけど、本当に思ってるんで
- のたに
- ありがとう
- 坂本
- じゃあ、練習しましょうか。合田さんのやつ
- のたに
- 坂本君、ごめん。もう一回いい?
- 坂本
- なにをですか?
- のたに
- さっき言ってたみたいなこと、なんでもいいから
- 坂本
- あ、はい。いいですよ
- のたに
- 私の目見て
- 坂本
- あ、はい。あ、じゃあ、いきますよ。のたにさんは見目麗しゅうございます。
 し、収録のときしか会わないですけど、優しい人やと思ってますし、大好きな人です
- のたに
- 大好きな人なん?
- 坂本
- なに恥らってるんですか。言わしといて
- のたに
- そやね。言わせたのに。じゃあ、合田さんの練習しようか
- 坂本
- はい
- のたに
- どう言ったらいいかな
- 坂本
- 照れてていいんじゃないですか、恥ずかしい台詞やったら
- のたに
- えー、ほんまに?
- 坂本
- 別に構わないと思いますけどね。真面目な顔して言う方が不自然でしょ
- ―終わりです。