- 時は漢王朝末期。長江のほとりである。
 諸葛孔明が壮大な川の流れを眺めていると、そこへ関羽が現れる。
- 関羽
- お待たせいたしましたな、軍師どの。
- 孔明
- 関羽殿。何、曹操の水軍を観察しておりましたゆえ。
- 関羽
- その数、20万・・・。
- 孔明
- こちらは5万・・・。しかし負けるわけには参りませぬ。
- 関羽
- その通りじゃ!曹操に天下を渡すわけにはいかん!
- 孔明
- わたくしも日々策を練っております。
- 関羽
- 頼もしい。そんな諸葛殿を見込んで、練ってほしい策が一つあり申す。
- 孔明
- 策を?この孔明、曹操に勝つためならどのような策でも練りましょう。して?
- 関羽
- 玲々(れいれい)をご存知か?
- 孔明
- 玲々?ああ、劉備夫人の世話係の。
- 関羽
- 好きなんじゃ。
- 孔明
- ・・・は?
- 関羽
- 付き合いたいんじゃ。
- 孔明
- ・・・関羽殿?
- 関羽
- しかし全く脈がなく・・・。頼む、軍師殿!!何か策を!
- 孔明
- お待ちください、関羽殿! 
- 関羽
- 頼む!このままでは戦に集中できぬのじゃ! 
- 孔明
- ・・・いたし方ありませんなあ・・・。
- 関羽
- ありがたい・・・!
- 孔明
- ・・・ではまず、小舟を用意し、玲々を川遊びに誘うのです。
- 関羽
- おお。
- 孔明
- そして曹操軍の方へ向けて船をこぐのです。
- 関羽
- 危険ではないか。
- 孔明
- 危険な方がよい。吊り橋効果です。
- 関羽
- なるほど・・・!
- 孔明
- そして川の中ほどに着いたとき、私は船に火を放ちましょう。
- 関羽
- なぜ?
- 孔明
- 吊り橋効果です。関羽殿は玲々を抱きかかえ、川に飛び込むのです。
 これで玲々はイチコロです。
- 関羽
- すばらしや。ではさっそく文を書かねば! 
 えー、(書いて)こんなものかな。しかしこの文を玲々に渡す勇気が・・・。
- 孔明
- わたくしが渡しておきましょう。
- 関羽
- ありがたや。では失礼。(去る)
- 孔明
- 陳平!
- 陳平
- はい!
- 孔明
- これを玲々に。
- 陳平
- 玲々ですか。
- 孔明
- そうそう。
- 陳平
- そうそう・・・。ああ、曹操か。
- そうして関羽の文は曹操に渡った。
- 曹操
- 何?あの関羽から文?「私はあなたに心からひれ伏す。長江の中ほどで語らいたい・・・。」
 みなのもの!あの関羽がこちらに寝返るとのこと!!
- もりあがる曹操軍。
- 関羽
- 玲々。文は読んでもらえたかな。来ていない?ま、まあ川遊びに行こうではないか。
- 孔明
- (双眼鏡のようなものを覗いて)よし、船が川の中ほどに。
 陳平、ほどなくあの船に火矢を放て。
- 陳平
- はい!
- 孔明
- ・・・ん?曹操の水軍が向かってくるではないか!! 
- 陳平
- 火矢を放ちますよー。
- 孔明
- ちょっと待て!
- 放たれる火矢。
- 孔明
- ああっ。火が!!この強風であっという間に曹操の船に!!
- 陳平
- よく燃えますねえ。
- 孔明
- か、勝ってしまったか・・・!!
- 終わり。