- 女1
- ひみつをひとつ聞かせてあげる。
あまつぶみたいな小さな秘密。
ピアノがなれば、すぐにわかる。
鍵盤たたくあの子が歌う。
ひみつをひとつ聞かせてあげる。
あまつぶみたいな小さな秘密。
音楽室へ続く廊下。
中学、高校、どっちだっけ?
とにかく忘れられないのは、
キラキラ澄んだあの子の歌。
- 女2
- らーらーらー、らーらーらー。
- 笑い声
- 二人
- 好きも嫌いも愛してるも、
何にもなかった毎日を
あの子と私、歌ってた。
ときどきくるくる踊ってた。
- 二人
- 雨、風、さくら、夏に雪
奇跡みたいな毎日を
神様がくれた毎日を。
あの子とわたし、生きていた。
- 女2
- らー、らーらー、らー、らーらー
- 曲リフレイン。
- 女1
- あの子がいなくなったのは、
雪がとけた春の日で、
卒業式の前の日で、
みんな不思議に思ったけど、
私だけはしっていた。
- 女2
- ねえ、秘密よ。わたし遠くにいくの。家も、母さんからもらった名前も捨てるわ。
私は私になるのよ。私ね、もうそうしなきゃ生きていけないの!
- 女1
- ぱあん!と飛び立つ鳥みたい。
あのこは遠くへひとっ飛び。
今はもうどこにいるか解らない。
ピアノの音を聞くたびに、
思い出すの、音楽室。
- 女2
- らー、ららーらー、らら。
らー、らら、らー、らら。
- 女1
- いつの日か、また会える?
どんな日々を生きてるの。
奇跡みたいな毎日を。
神様がくれた毎日を。
- 女2
- らー、らら、らー、らら。
- 女の子たちの笑い声
- おしまい