麗らかな昼下がり。
河原では草野球の練習や、ピクニックを楽しむ家族。
一方に喪服の男女。
飛行機が大きく空を横切った。
空、たっかいなぁ。
ああ。
吸い込まれそう。
うん。
あん時も、ここに連れてきてくれたやんなぁ。
飛行機、見に。
うん。
想像の翼があれば、どこへでも行けるって。
うん。
飛行機眺めて、心落ち着かせて。
うん。
だから。
ありがと。
うん。
あれから十年かぁ。
うん。
一人、また一人、また一人。
うん。
飛行機に乗って行ったわけやないんやけどね。
うん。
そんなん、わかってるつもりやねんけどね。
うん。
上向いてたら、少しは我慢できそうな気がして。あ。
男がそっと女の手を握った。
また、飛行機が大きく横切った
まだや。
え。
まだ、もうちょっと、こっち側や。
うん。
我慢せんでええよ。
女の目から涙が溢れ出した。