- 男の子
- ちきゅうじん?
- 女の子
- そうだよ、地球人
- 男の子
- 変なの
- 女の子
- 変?
- 男の子
- 僕らと違うってことだよ
- 女の子
- 違うって何が?
- 男の子
- ほら、だって手の指が五本もあるし
- 女の子
- うん。足の指も五本あるわよ
- 男の子
- 身体の色も全然違う
- 女の子
- 君は奇麗な緑色だね。まるで地面に敷き詰められた芝生みたい
- 男の子
- そうだよ。それに僕らはみんな、ブルーの髪をしてるよ
- 女の子
- うん、みんな海の色をしているわ。風になびいたらまるで波みたい
- 男の子
- だいたい、なんだよその耳。僕らみたいに尖ってないし長くもない
- 女の子
- そうね。あなたの耳はウサギみたいだわ
- 男の子
- ウサギ?なんだいそれ。君みたいなそんな小さな耳でなにが聞けるっていうのさ。
それに鼻なんてひとつしかないじゃないか。
僕らはちゃんと三つあるから、いろんな匂いを嗅ぎ分けられるのさ
- 女の子
- それはとっても便利ね
- 男の子
- あと、そんな赤い唇なんてみたことないよ
- 女の子
- これは血の色だもの
- 男の子
- じゃあ君には赤い血が流れてるっていうの?
- 女の子
- そうよ
- 男の子
- それこそ変だよ。僕らはみんな、黄色の血が流れてるんだよ
- 女の子
- 黄色?
- 男の子
- 太陽の光をいっぱい浴びれば浴びるほど、体の中で黄色に輝くんだ
- 女の子
- それは奇麗だね
- 男の子
- それにずっと気になってたんだけど、なんだい?その足に付けてるの
- 女の子
- これは付けてるんじゃなくって履いてるっていうのよ。靴を履いてるの
- 男の子
- そんなのを履かないと歩けないなんてずいぶんと貧弱なんだな
- 女の子
- そうかもしれないわね
- 男の子
- 僕らはこの足でどこへでも、どこまでも歩けるんだ
- 女の子
- たくましいのね。あ、それにもうひとつ違うところを見つけたわ。
君の瞳は七色ね
- 男の子
- そりゃそうだろ。世界はこんなにもカラフルなのに、
それを見るための目に色が付いていないなんて変じゃないか
- 女の子
- ふふふ
- 男の子
- なにがおかしいんだよ
- 女の子
- ううん、それはとっても興味深い考え方ね
- 男の子
- なんだよそれ
- 女の子
- ううん。ふふふ
- 男の子
- と、とにかく君はなにからなにまで変だよ
- 女の子
- そうかもしれないわね。でも地球とこの星の男の子はとてもよく似ているわ
- 男の子
- いったいどこがどう似てるっていうんだよ
- 女の子
- あのね。地球の男の子もこの星の男の子も、
どっちも好きな女の子をついつい苛めたくなってしまうのよ
- 男の子
- ……
- 女の子
- ねぇ。明日はなにして遊ぼっか?
- 男の子
- そうだね。一緒になにして遊ぼっか
- END