強い風が吹き抜けていく。
ねえ、君は幸せかい?
ええ、とっても…こうやってあなたと一緒になれたんだもの。
ハネムーンは何処へ行きたい?
そうね…ゾンビ島、ゾンビ牧場、ゾンビわんわん王国が人気スポットよね。
どうしたんだい、浮かない顔だね…。
わたし…他の皆が行ったことない所へ行ってみたいわ。
例えば?
そうね…人間の街とかどう?
人間の街!?
ダメかしら?
それは面白そうだけど…でも、僕らが行くとパニック状態になってしまうんじゃなな…それは、人間に申し訳ないよ。
うふふ、あなたって本当優しいゾンビね。
大丈夫よ、今日は私たちが行っても誰も驚かない日よ。
ええっ、本当かい?
いいからいいから、行きましょう!
ちょっとちょっと!
賑やかな街の雑踏。
わあ、噂に聞いていたけどすごく賑やかね!
ねえねえ…普通の人間に混じって、僕達みたいなゾンビや化物が沢山!
なのに…普通の人間は驚かないしパニックにもなってない。
これは一体?
(笑って)ほら、今日は特別な日なのよ。
へえ、どうしてだろ?
ね、あそこに行ってみましょう!
ちょっと、そんなに手を引っ張ったら、腕が取れちゃうよ!
賑やかな音楽。
ここは…?
楽しそう…みんな踊っているわ。
私たちも踊りましょう!
上手く踊れるかな…激しいのは駄目だよ。
骨がむき出しになっちゃうかも。
大丈夫よ、またくっつければいいわ。
2人踊る。
アナウンス
「ここで、本日の記念すべきベストカップルが決定しました」
わあ、誰かしら?
どんなカップルだろうね。
アナウンス
「ベストカップルはハイクォリティなゾンビカップルに!」
拍手と歓声。
えっ、ええっ!?
やったわ!!
アナウンス
「素晴らしいメイクに衣装で決めた素晴らしい2人ですね!」
メ…メイク…、いや、違うんです。
(遮るように)ありがとう…頑張った甲斐がありました!
ええっ!?
いいのいいの。
今日は…なんて不思議な夜なんだ。
だって、今日はハロウィンよ。
そうか、なんて楽しい夜なんだ!
2人微笑みあう中、音楽が流れる。おわり。