- 強い風が吹き抜けていく。
- 男
- ねえ、君は幸せかい?
- 女
- ええ、とっても…こうやってあなたと一緒になれたんだもの。
- 男
- ハネムーンは何処へ行きたい?
- 女
- そうね…ゾンビ島、ゾンビ牧場、ゾンビわんわん王国が人気スポットよね。
- 男
- どうしたんだい、浮かない顔だね…。
- 女
- わたし…他の皆が行ったことない所へ行ってみたいわ。
- 男
- 例えば?
- 女
- そうね…人間の街とかどう?
- 男
- 人間の街!?
- 女
- ダメかしら?
- 男
- それは面白そうだけど…でも、僕らが行くとパニック状態になってしまうんじゃなな…それは、人間に申し訳ないよ。
- 女
- うふふ、あなたって本当優しいゾンビね。
大丈夫よ、今日は私たちが行っても誰も驚かない日よ。
- 男
- ええっ、本当かい?
- 女
- いいからいいから、行きましょう!
- 男
- ちょっとちょっと!
- 賑やかな街の雑踏。
- 女
- わあ、噂に聞いていたけどすごく賑やかね!
- 男
- ねえねえ…普通の人間に混じって、僕達みたいなゾンビや化物が沢山!
なのに…普通の人間は驚かないしパニックにもなってない。
これは一体?
- 女
- (笑って)ほら、今日は特別な日なのよ。
- 男
- へえ、どうしてだろ?
- 女
- ね、あそこに行ってみましょう!
- 男
- ちょっと、そんなに手を引っ張ったら、腕が取れちゃうよ!
- 賑やかな音楽。
- 男
- ここは…?
- 女
- 楽しそう…みんな踊っているわ。
私たちも踊りましょう!
- 男
- 上手く踊れるかな…激しいのは駄目だよ。
骨がむき出しになっちゃうかも。
- 女
- 大丈夫よ、またくっつければいいわ。
- 2人踊る。
- アナウンス
- 「ここで、本日の記念すべきベストカップルが決定しました」
- 女
- わあ、誰かしら?
- 男
- どんなカップルだろうね。
- アナウンス
- 「ベストカップルはハイクォリティなゾンビカップルに!」
- 拍手と歓声。
- 男
- えっ、ええっ!?
- 女
- やったわ!!
- アナウンス
- 「素晴らしいメイクに衣装で決めた素晴らしい2人ですね!」
- 男
- メ…メイク…、いや、違うんです。
- 女
- (遮るように)ありがとう…頑張った甲斐がありました!
- 男
- ええっ!?
- 女
- いいのいいの。
- 男
- 今日は…なんて不思議な夜なんだ。
- 女
- だって、今日はハロウィンよ。
- 男
- そうか、なんて楽しい夜なんだ!
- 2人微笑みあう中、音楽が流れる。おわり。