- サスペンス調の音楽。
- 男
- そして、この中に、
クリスティアーヌ公爵夫人殺人事件の真犯人がいるのです!
- 人々のどよめき。
- 男
- 小間使いのヘンリエッタ、あなたが殺したのだ!
- 女
- 違います!
- 男
- シャルロッテさん、かばいだてしないでください
- 女
- 本当に違いますの!私は、私は、シャルロッテではないのです!
- 男
- なら一体誰なのですか?
- 女
- 実は・・・
クリスティアーヌ公爵夫人の夫であるクロード・ミシェル公爵が
弟君のフェリクス・ジャン公の許嫁であるアルベルティーヌ嬢に
密かに生ませたアルフォンシーヌと申す者なのです!
- 男
- そんな、まさか!
クリスティアーヌ公爵夫人の夫であるクロード・ミシェル公爵の弟君
フェリクス・ジャン公の許嫁であるアルベルティーヌ嬢に
密かに生ませたアルフォンシーヌはもう、この世にいないはずだ!
- 女
- 名探偵のあなたでも欺かれていましたか・・・・
- 男
- 私とて、いっこの人間です。神のごとき全知全能ではない。
しかし、あなたとヘンリエッタと一体どういう関係が?
- 女
- ヘンリエッタは・・・ヘンリエッタは、私の姉なのです!
- 人々のどよめき。
- 男
- つまり、
ヘンリエッタもクリスティアーヌ公爵夫人の夫である
クロード・ミシェル公爵が弟君のフェリクス・ジャン公の許嫁である
アルベルティーヌ嬢に密かに生ませた子供だった、と・・・
- 女
- ええ、そうです。本当の名前はジョセフィーヌと言います
- 男
- 運命とは、実に奇妙で恐ろしい
- 女
- 私たちは、離ればなれに暮らし、育てられました
- 男
- 公爵夫人はそれを知っていた?
- 女
- ええ、
私たちがクリスティアーヌ公爵夫人の夫であるクロード・ミシェル公爵が
弟君のフェリクス・ジャン公の許嫁であるアルベルティーヌ嬢に
密かに生ませた姉妹だということを
- 男
- 分かっていたから、あなた方二人を小間使いとして、
ボロ雑巾のように酷使したのですね
- 女
- 公爵夫人は冷酷な人でした。父である公爵は暖かい人でしたが
- 男
- 母上のことは覚えていらっしゃいますか?
- 女
- クリスティアーヌ公爵夫人の夫であるクロード・ミシェル公爵の弟君の
フェリクス・ジャン公の許嫁であった母も、心に暖炉をもつ人でした
- 男
- あなたもその暖炉を持っていたはずだ
- 女
- 姉さんが公爵夫人になぶられるのを見ていられなかったんです
- 男
- そして、クリスティアーヌ公爵夫人の夫であるクロード・ミシェル公爵が
弟君のフェリクス・ジャン公の許嫁であるアルベルティーヌ嬢に
密かに生ませた、あなたの姉のジョセフィーヌも、
あなたの窮地を救おうと、罪を被ろうとした
- 女
- うう・・・なんてこと・・・すべては、すべては私が・・・
- ガラスを突き破る音。
- 女
- ああ!姉さーーん!
- 男
- およしなさい!今日は潮の流れが早い!もう、助からない
- 女
- ねえさん・・・・どうして・・
- 男
- みなさん!公爵夫人を殺害した小間使いヘンリエッタは、
罪の意識に苛まれ、自ら死を選びました
- 女
- なにをいっているの!姉さんはクリスティアーヌ公爵夫人の夫である
クロード・ミシェル公爵が弟君のフェリクス・ジャン公の許嫁である
アルベルティーヌ嬢に密かに生ませたジョセフィーヌなのよ!
- 男
- あなたが世継ぎのいないこの公爵家の跡取りとなるのですよ
- 女
- 私が?
- 男
- それが!ヘンリエッタ、いえ、クリスティアーヌ公爵夫人の夫である
クロード・ミシェル公爵が弟君のフェリクス・ジャン公の許嫁である
アルベルティーヌ嬢に密かに生ませたジョセフィーヌの、
命をかけた願いなんです!
- 女
- ううー!
クリスティアーヌ公爵夫人の夫であるクロード・ミシェル公爵が
弟君のフェリクス・ジャン公の許嫁であるアルベルティーヌ嬢に
密かに生ませたジョセフィーヌ姉さーーん!
- (了)