- バイキングの客でにぎわうレストラン。
- 客
- さー、たまの休みの一人レストラン。バイキングでがっつり食べちゃお。
まずは唐揚げ、唐揚げ?。うわー、揚げたて?
- 男
- はいはい、一人2個までですよー
- 客
- え、ちょっと、食べ放題でしょ
- 男
- もちろんそうですけど、始めの2個をちゃんと食べてから
次の2個をとってくださいね
- 客
- お皿に山盛りとるのが楽しいんですよ
- 男
- そんな事言って残すお客さん多いんですよね
- 客
- 私は違います!ちゃんと食べますよ!てか、なんなんですか、あなた!
- 男
- ガードマンです。かっこ見れば分かるでしょ。
- 客
- そんな人いないから
- 男
- あなた、お皿、二枚も持ってますね
- 客
- はい
- 男
- 一枚にしてください
- 客
- 種類で分けたいんです
- 男
- 洗い場さんの気持ち、考えてください。
ぎゅうぎゅうに盛れば一枚ですむはずです
- 客
- こっちはお金払ってるんですよ!
- 男
- お金払えば、なにしてもいいんですか?
- 客
- そういうことじゃなくて・・・
- 男
- (無線)店長、店長、モンスタークレイマー一名現れました、どうぞ
- 客
- ちょっと!
- 男
- はい
- 客
- 今のなんですか
- 男
- 業務連絡なんで気にしないでください
- 客
- 感じ悪いなー
- 男
- もし、一度に二枚ご利用される場合は、追加料金と・・・
- 客
- はいはい分かりましたよ、一枚にしますし、唐揚げも2個しかとりません!
- 男
- ご協力、ありがとうございます
- 客
- やっと、どっかいった。もう。さあ、気を取り直して付け合わせのサラダ?。
トマト、キュウリ、クルトンものせちゃって。ドレッシングはやっぱり
シーザーをたっぷり・・・
- 男
- (駆け寄って来て)こらこらこら!あーまたあんたか
- 客
- はい?
- 男
- うわー、ひどい!トマトが真っ白になるまでかけるなんて!
- 客
- 今度はなんですか!
- 男
- かけすぎですよ、
ドレッシング!半分以上、皿にこぼれて意味ないじゃないですか!
- 客
- たっぷりが好きなんです!
- 男
- 小さじ一杯が基本。これおちょこ一杯分、、
非常識だ、あなた!野菜の気持ち、考えてください!
- 客
- 知りませんよ、そんなの!
- 男
- 私もね、あなたが憎くて言ってるわけじゃないんです。
仕事なんです、これも
- 客
- アタシもお客様なんですよ
- 男
- だからこそですよ!こんなドレッシングぼとぼとのサラダ食べてたら、
太りますよ!
- 客
- おおきなお世話です!
- 男
- 世話も焼きたくなりますよ!週末の夜に女一人でバイキングだなんて、
とっても心配ですよ!
- 客
- 仕事なんでしょ。そんなことほっといてください!
- 男
- これは同じ人間として言ってるんです。仕事なんて関係ない!
- 客
- 関係あるでしょ
- 男
- あなたも若いんだから、デートとか、踊りにいくとか、せめて女子会で
バイキングに来るとか、もっと人生エンジョイしなきゃだめですよ!
- 客
- ほっといてください
- 男
- 私にもね、貴方ぐらいの娘がいるんだ。(だんだんしんみり)
出来の悪い子でね。なんとか会社に入ったんだけど、
どん臭くっていじめられちゃってね・・・・
- 客
- はあ・・
- 男
- まだ彼氏もいないんだよ。父親としては一度くらい、言いたいじゃないか、
うちの娘に悪い虫がついちゃってねえとかなんとか。あなた、いるの、彼氏?
- 客
- いちおう。今、ケンカ中で
- 男
- ダメだよ!仲良くしなきゃ!
- 客
- はい
- 男
- ご実家は近所なの?
- 客
- 田舎のほうで
- 男
- 里帰りしてる?
- 客
- 忙しくってなかなか
- 男
- 帰っておあげよ。お父さんに彼氏紹介してあげなよ
- 客
- そうですね。彼とは結婚前提だし・・・
- 男
- お父さん、喜ぶよ、とっても
- 客
- 確かに。最近、喜んだ父の顔、みたことなかっ・・・・
- 男の持っていたタイマーが鳴る。
- 男
- はい。食べ放題の制限時間終了です。はい。
- (了)