- バタバタと走ってくる足音。
- 少女
- ねー、ちょっとお手伝いして欲しいの。
- 男
- いいよ、ちーちゃん何したらいいの?
- 少女
- はい、これ。
- 男
- (受け取って)ああ・・・・お人形遊びね、何の役したらいいの?
- 少女
- こいびと!
- 男
- こ・・・こいびと!?
- 少女
- うん!
- 男
- ええっ・・・こ、「恋人」って、ちーちゃん・・・
いつの間にそんな言葉覚えたの!?
- 少女
- えーと、お友達が言ってたの・・・。
- 男
- そ、そうなんだ・・・やっぱり女の子っておませさんだなあ・・・・。
ちーちゃん・・・なんか、いつの間にかそんなことまで・・・
なんか遠い気がしちゃうなあ・・・。
- 少女
- どーしたの、なんで泣いてるの?
- 男
- な・・・なんでもないよ、ちょっと目にゴミが入って・・・・。
- 少女
- そう・・・・で、教えて欲しいことがあるの。
- 男
- ん?なあに?
- 少女
- かれしって・・・こいびとって・・・・どういうの?
- 男
- え・・・・・ちーちゃん、ひょっとして分からない・・・・のかな?
- 少女
- うん・・・あすかちゃんもまいちゃんもサラちゃんも、
みーんな知ってるって言うの・・・・・
だから、ちーちゃん知ってるフリしちゃったの。
- 男
- そうか・・・やっぱり、ちーちゃんはちーちゃんだ・・・良かった。
- 少女
- よくないよ・・・知らないのに知ってるってウソついちゃったもん。
- 男
- あ、そうだよね・・・。
- 少女
- ねえ・・・「こいびと」ってどういうの?
- 男
- えーと、「恋人」っていうのは・・・
お互い好きでデートしたりする2人のことを言うんだよ・・・・・。
- 少女
- ふーん・・・じゃあ、お母さんも「こいびと」の時あったの?
- 男
- 勿論。
- 少女
- へえー「こいびと」になって「けっこん」するってこと?
- 男
- うん、そうだね。
- 少女
- 「こいびと」から「けっこん」するって、どうするのー?
- 男
- そ、そうだね・・・・
お互いずっと一緒にいたいなーって思ったら「結婚」するんだよ。
- 少女
- 思ってるだけで、出来るのー?
- 男
- うーん・・・・きっかけはあるかなあ、うん。
- 少女
- キッカケ・・・・なにー?
- 男
- 例えば、プロポーズとか。
- 少女
- ぷろぽーず?
- 男
- うーん・・・そうだね「魔法の言葉」みたいなものかなあ。
- 少女
- まほう・・・・わあ!
どっちが、まほうを使ったの?
え・・・・ボク達のこと聞いてる?
- 少女
- うん!
- 男
- えーと・・・・・えーと・・・・うーん。
- 少女
- ねーねー、教えてよー。
- 男
- う、うーん・・・・まいったな。
- ガチャリとドアを開ける音。
- 女
- ただいまー、スーパー混んでて遅くなっちゃった。
- 少女
- ねーねー、お母さん・・・どっちがまほうを使ったの?
- 女
- え・・・・・何?
- 少女
- えーとね・・・・・けっこんするとき・・・・。
- 男
- (遮って)ちーちゃん、ちょっと待って!
- 女
- 変なの・・・・どうしたの?
- 男
- あの・・・・あの・・・・僕と結婚して下さい!
- 少女
- わあ!
- 女
- え・・・・え・・・・?
- 男
- 思えば・・・・今まで、ちゃんと言ってなかったから。
- 女
- ほんと変なの・・・・・じゃあ、私も言っていい?
- 男
- う、うん・・・・・どうぞ。
- 女
- これからも、ずっと一緒にいたいです・・・結婚して下さい。
- 男
- ・・・・ありがとう。
- 少女
- あれ・・・どうして、二人共笑いながら泣いてるのー?
- 男
- 魔法の言葉・・・・の効果かな。
- 少女
- わあ・・・まほうすごい! あたしも使う!
- 男
- 今はちょっと早いかなー。
- 女
- そうね・・・・大人になったらね。
- 少女
- えー、二人共ずるーい。
- 男が思わず笑ってしまうと女もつられて笑ってしまう。
- おわり。