- まり子
- うわぁぁぁん!!うわぁぁぁん!ぐるるるどっかんきゃぁぁんうわぁぁん!
- ○○○
- 泣くな。
- まり子
- う、う、う、う、う・・・うぎゃぁぁぁぁぁぁん!!
- ○○○
- 泣いたって何にもならへんで。
- まり子
- うううううううわぁぁぁん!!嫌。嫌。嫌。嫌。
- ○○○
- 何がそんなに嫌なん?
- まり子
- 嫌。嫌。嫌。嫌。絶対嫌絶対嫌絶対嫌!!
- ○○○
- そないに俺のこと嫌いなん?
- まり子
- 大嫌い!
- ○○○
- はっきり言うなぁ
- まり子
- ウチ、自分のこと世界で一番嫌い!
- ○○○
- えぇ。そこまで?
- まり子
- う、う、う、ウチ、じ、じ、自分が、、、う、う、う、き、き、消えて、、消えて、なくなったら超シワワセねんけど、、う、う、う、う、どう思う?うう・・・
- ○○○
- アホ。まり子。俺のことが嫌いな子は、ずっと風邪なおられへんで。ずっと咳、コホコホすんで?
- まり子
- ほなったらウチ、お風邪なんて治りたくないぃぃうわぁぁん!
- ○○○
- ええの?風邪なおらんでええの?
- まり子
- ええことない!うわーん!!
- ○○○
- どっちやねん。
- まり子
- えーん!えーん!えーん!
- ○○○
- ほら。まり子。見て。俺の体見て。ほら泣いてんと。ほら見てみ。ピンクやろ?
- まり子
- うう・・・
- ○○○
- おまえ、ピンク好きやろ?
- まり子
- うう・・・
- ○○○
- なんで俺がピンクかわかう?_
- まり子
- ううん・・・
- ○○○
- それはな。俺がイチゴ味やからや。おまえイチゴ好きやろ?
- まり子
- (急に泣きやみ)は!うん。ウチ、イチゴ好き!
- ○○○
- せやろ!イチゴ好きやろ!?
- まり子
- イチゴ好き!!大好き!イチゴ食べたらウチ、踊りだす!
- ○○○
- 踊っちゃう!?
- まり子
- 踊っちゃう!
- ○○○
- ほなったら俺、飲んでから踊ろうや!ナイトクラブの輝く街に繰り出そうや!
- まり子
- 嫌ぁぁぁぁ!!うわーん!(とまた泣きだす)
- ○○○
- えー!!
- まり子
- ウチイチゴ好きでも自分のことは嫌い。自分はイチゴちゃう。イチゴはもっとあれやもん。三角で粒粒で可愛ええもん。
- ○○○
- いやそりゃあな。確かに俺は形の面ではイチゴちゃうけど、味はイチゴや。
- まり子
- 嘘や!
- ○○○
- 嘘ちゃうわ!子供用に作られとんねん。ええから試しに飲み込んでみ!?
- まり子
- 嫌や!ウチ、この前、お母ちゃんに白いコナコナのやつ無理やり飲ませれて、めちゃんこ苦くて泣きそうなったねん!てか泣いたねん!ウチ、5歳にして、心にシマウマ抱えてもうたねん。
- ○○○
- シマウマて。トラウマな。
- まり子
- とにかく嫌!!絶対嫌!!
- ○○○
- 頑なやなぁ。俺、こないに頑なやつ見たことないわ。
- まり子
- かっこええやろ!
- ○○○
- ええことないわ!聞け。まり子!
- 間
- ○○○
- おまえ、お母ちゃんのこと好きか?
- まり子
- うう・・・(頷く)
- ○○○
- 幼稚園のコスモス組のお友達好きか?
- まり子
- うう・・・ウチみんな好き。うう・・・
- ○○○
- その気持ちは嘘やないな?
- まり子
- ウチ、嘘つかん。エグッエグッ・・・
- ○○○
- そしたらおまえは、みんなのためにも俺を飲み込まないとあかんねん。じゃないとおまえの風邪がみんなに移って、みんなもコホコホなるねんで。コホコホ世界の到来や。
- まり子
- 嫌や。みんなコホコホなったら嫌や。エグッエグッ・・・
- ○○○
- じゃあみんなのために俺を飲み込め。子供なおまえには難しいかもやけど、人っていうのはな。人のためにしか生きられへんねんで。
- まり子の嗚咽が木霊する。
- まり子
- ・・・ウチが飲みこんだらみんなコホコホならん?
- ○○○
- ならん。約束すうわ。
- まり子
- じゃあ・・・飲む。
- ○○○
- よく言うた!よし。じゃあせーのでいこうか!目つぶって・・・
- まり子と○○○
- せーの!!
- ゴクリと音がする。
ドアの音。
母親が入ってくる。
- 母親
- まり子、ええ加減お薬飲めたか?飲まんと今日も幼稚園行けへんでー。
- まり子
- お母ちゃん!!
- 母親
- あ!!あんたもしかして飲めたん!?
- まり子
- うん!!
- 母親
- 偉いなぁ。よう飲めたなぁ。
- まり子
- ウチ、みんなをな。コホコホからな。守ったねん!
- 母親
- ホンマやなぁ。ありがとう。まり子。
- 薬がまり子の中で戦っている。
- くすり
- うわぁ!めっちゃ風邪菌つおい。思った以上につおい。ごめん。嗚呼!止めて!うわぁぁ!!!
- 終わり。