- 雨の日。まり子はスーパーの前で母親の買い物が終わるのを待っている。
まり子は何かを探してる様子。
- まり子
- おーい。どこねんどこねんどこねんねー。おーい。
- ○○○○
- おーい。まり子。こっちやでー
- まり子
- あ。(と○○○○を見つけ駆け寄る)
- ○○○○
- よう。
- まり子
- 見~つけた!!
- ○○○○
- 久しぶりやな。
- まり子
- ちょっと。どこ行ってたん?
- ○○○○
- 空の上の雲の中で眠ってたわ。
- まり子
- えーそうなん?なんや自分ナマケモノか。
- ○○○○
- しゃーないやん。雨の日ならんとここに溜まれへんねん。
- まり子
- ふーん。要はナマケモノいうことやな。
- ○○○○
- だからちゃうって。ええか?俺?実はすごいことねんで?物凄い降って、物凄い溜まうねんもん。これ意外にしんどい。はたから見ると、なんや自分降って溜まってるだけやんて捉えられがちのことやけど、これ、意外にシンドイ。白鳥が水の下で足ばたつかせてうのと一緒や。わかうか?
- まり子
- わかう!!
- ○○○○
- わかってくれたか!!
- まり子
- 要は自分、ナマケモノいうことやろ。
- ○○○○
- うわぁ。びっくりするぐらい伝わってへん。ごめん。もうええわ。
- まり子
- なぁなぁ。
- ○○○○
- 何?
- まり子
- 空の上って何?
- ○○○○
- え?何って何?
- まり子
- だってお空は上にあるやろ?その上って何?てかお空ってどっからどこまでがお空のことなん?
- ○○○○
- いや空の上は空の上やろ?え?どっから?え?いやそれはアレやろ?うん。
あれやな。ほらほら。あの辺。
- まり子
- どの辺?
- ○○○○
- ほら。あの辺あの辺。
- まり子
- あ!!もしかしてあの辺のこと!?
- ○○○○
- そうそうそうそう!!
- まり子
- ほえーあの辺が空の上なんやぁ。
- ○○○○
- おまえはホンマにカシコやな。ようわかってう。
- まり子
- ウチ、雨大好きねん。長靴履けるし傘もさせるねん。ほんでな。見て。こうやって口を上にうわー!!って開けうと、・・・水も飲めう!!うきゃうきゃ。ほんで一番の楽しみが・・・
- まり子が○○○○をバシャバシャ踏みつける。
- まり子
- わきゃわきゃ!これがウチ、大好きねん!
- ○○○○
- ぬお!!ぬお!!ぬお!!
- 楽しそうな二人。
- まり子
- ウチ、今までも今もこれからもずっと自分のこと、バシャバシャする構えやしな?きゃめへんな?
- ○○○○
- おーきゃめへん。きゃめへん。でもな。まり子。大人になったら俺のこと見つけうの難しいぞ。
- まり子
- え?なんで?
- ○○○○
- 俺ってな。なかなか大人には見えへんねん。例えば、おまえがそのカシコな勢いでキャリアウーメンになったとする。そしたら、おまえは俺を探す暇なんてあらへん。頭の中は仕事ばっかり。バシャバシャが入る余地なんてこれ、ないねんことねんか?
- まり子
- そんなことない!ウチ、大人になっても自分見つけてバシャバシャすうで!
- ○○○○
- ・・・ほんまに?
- まり子
- 約束すう。ウチ、約束は絶対守う算段ねん。約束を破ったら友達いなくなってまうってお母ちゃんいってたし約束守う。自分はウチの一生のお友達ねん。
- ○○○○
- ・・・ありがとう。
- そこへまり子の母親がやってくる。
- 母親
- まり子ー。
- まり子
- あ。お母ちゃん。
- 母親
- あー。大きい水たまりやなぁ。
- まり子
- お母ちゃん。ウチ、大人になってもこれするしな
- <まり子は水たまりの上を激しくバシャバシャする!
- 母親
- こらまり子。ぐしょぐしょなるで!
- 終わり。