- おやつの三時頃。
ブーーーーーーーーん・・・・・ぶーーーーーーーンと○○○の音が聞こえてくる。
- 少女
- ねーねー。
- ○○○
- ・・・
- 少女
- ねーねー。ねーねーったら。
- ○○○
- (鬱陶しそうに)・・・何?
- 少女
- 遊ぼうやぁ。
- ○○○
- ・・・あかん。
- 少女
- そんなん言わんと遊ぼうやぁ。
- ○○○
- あかん。絶対に、あかん。
- 少女
- なんで?めっちゃ暇そうにしてるやん?
- ○○○
- 暇ちゃういうねん。めっちゃ冷やしとるいうねん。
- 少女
- ・・・そうなん?
- ○○○
- せや。俺が冷やさへんかったら、中のもの全部腐って、めっちゃ臭いねんで。
- 少女
- え!嘘やん。
- ○○○
- 嘘ちゃうわ。めっちゃ臭いで。
- 少女
- 嫌や。臭くなるん嫌や。臭いの嫌や。
- ○○○
- そりゃあもうすごいで。自分、魚が腐った匂い知らんやろ。この世の終わり迫ってくんで。
- 少女
- 嫌や。この世、終わったら嫌や。
- ○○○
- せやろ。そしたら大人しく遊んでなさい。
- 少女
- ・・・はーい。
- 沈黙。
その中でブーーーーーン・・・と○○○の音だけが聞こえてくる。
- 少女
- やっぱり遊ぼうやぁ。
- ○○○
- 自分、俺の話もう忘れたんか。早(はや)。わずか6秒前の会話やで。
- 少女
- ウチそんなん知らん。なぁなぁ遊ぼうやぁ。
- ○○○
- ツレのとこ、遊びにいったらええやんけ。
- 少女
- 今日、ウチ、お留守番ねん。大人しくしてなあかんねん。
- ○○○
- じゃあ大人しくしとけ。
- 少女
- でもウチ子供ねん。大人しくできひんねん。大人しくできたら子供ちゃうやろ?
- ○○○
- ・・・自分、キショイ子供やな。なんちゅうこと言うねん。
- 少女
- なんで遊んでくれへんの?
- ○○○
- それはさっき説明した。もう(説明は)せん。
- 少女
- ・・・自分、いけずやなぁ。
- ○○○
- なんとでも言え。俺には俺の仕事があるんや。
- 少女
- ふん。何さ。ほなったらええもん。ウチ一人で遊ぶことやしな。
- ○○○
- おお。勝手に遊べや。
- 少女
- あとで遊んで言うても、遊んであげへんことやしな。ウチ、一人でお絵かきするしな?きゃめへんな?
- ○○○
- きゃめへんきゃめへん。
- 少女
- ・・・ふん。
- 沈黙。
その中でブーーーーーン・・・と○○○の音だけが聞こえてくる。
- 少女
- これ見て。これ、クレヨンいうねんで。綺麗やろ。でもウチが使うしな。貸していうてもあかんことやしな。
- ○○○
- ・・・
- 少女
- (不貞腐れて)何なん。
- 沈黙。
その中でブーーーーーン・・・と○○○の音だけが聞こえてくる。
時間が流れる。夕方6時。
するとドアの音。
- 母
- ただいまー。ごめんなぁ。遅うなって。
- 少女
- お腹空いたぁ・・・
- 母
- はいはい、すぐ作るしなぁ・・・あ。まり子、お絵かきしてたん?
- 少女
- うん。まぁね。
- 母
- でもこれ何の絵なん?エライ四角い絵やなぁ。
- 少女
- 決まってるやん。冷蔵庫ねん。
- 母
- え?冷蔵庫?
- 少女
- なぁなぁ母ちゃん。こいつ、めっちゃいけずねんで。
- 母
- (笑って)えーそうなん?
- 少女
- 全然遊んでくれへんねん。
- 母
- ふぅん・・・まり子、これ、冷蔵庫張っとこか?
- 少女
- ・・・別にええけど、クレヨンは貸さへんことやしな。
- 母
- え?あんた何言うてるん?
- 少女
- (また不貞腐れて)ふん。知らんもん。
- 冷蔵庫がブーンと鳴った気がして・・・
- 終わり。