- ここは南洋の小島。無人島である。
汚れた服を着た若者(男)が海に向かって釣をしている。
- 男、この島に流れ着いて今日で20目、すでに食べ物はそこをつき、疲労は限界に達している。なんとかして食べ物を…、
- 男は釣り糸を引き上げる。何もかかっていない。
そこに女が駆けつける。
- 女
- おーい、
- 男
- どうした?何か見つかったか?
- 女
- すごいのよ。とにかく来て。
- 男、島の奥深く。ジャングルのように草木が生い茂る。沼を渡り洞窟を潜り抜けたその先に、自動パン焼き機があった!
- 女
- ね。
- 男
- いや、電気ないし。
- 再び男は釣をしている。
- 男、この島に流れ着いて今日で2ヶ月。すでに空腹は限界に達している。なんとかして食べ物を…、
- 男は釣り糸を引き上げる。何もかかってない。そこに女が駆けつける。
- 女
- おーい、
- 男
- どうした、何か見つかったか?
- 女
- すごいのよ。とにかく来て。
- 男、島の奥深く。ジャングルのように草木が生い茂る。毒蛇を追い払い、吸血コウモリに追われてたどり着いたそこには、3Dテレビ専用メガネがあった!
- 女
- な、
- 男
- いや、なじゃなくてさ。
- 再び男は海に向かって釣。
- 男、この島に流れ着いてどれくらいたったろう。もう限界。限界の限界。はやく食べものを…、
- 男は釣り糸を引くが何もかかってない。そこに女がやってくる。
- 女
- おーい、
- 男
- フィギァか?
- 女
- え?
- 男
- ビックリマンチョコのシールだけか?電化製品か?鼻の毛穴掃除するパックか?
- 女
- 落ちついて。
- 男
- 状況わかってるだろうな、俺たち無人島なんだからな。
- 女
- わかってるわよ。でもすごいの、今度はホント。役に立つから。
- 男、島の奥深く。ジャングルのような草木を潜り抜け、切り立った崖を登り、灼熱の火山口を迂回したところに、それはあった。
- そこにはおみくじの自販機がおいてある。
- 女
- ね。
- 男
- おみくじ?
- 女
- そうおみくじ。ひいてみてよ。
- 男
- (ひいてみる)…大吉だ。
- 女
- ばんざーい!ばんざーい!
- 男
- 少しだけ、嬉しかった。
- おしまい