秋の公園。ベンチに男女が座っている。
男はこの日のために指輪を隠し持っている。
そう今日こそプロポーズをしようと決意したのだ。
あの、えっと、
ちょっと寒いね。
秋、秋だから、
秋、好き?
うん。秋好き秋一番。
私は春のほうが好きかな。
うん俺も春好き春一番。
…どうしたの?
…でも、秋よりも春よりも、俺は一番、君が好き。
…なによ改まって、
あのさ、突然かもしれないけど、
(何かを発見して)あ!!
え?
みれば公園を相撲取りの集団がジョギングしていた。
相撲取りがジョギングしてる。
…。
すごーい。ジョギングとかするんだね。
そうだね。
膝とかいためないのかな、
そんなことどうだっていいじゃん!
どうしたのよ?
…。あのさ、びっくりさせて申し訳ないんだけど、ずっと真剣に考えてきたことなんだ、つまり、
突然二人の近くに雷が落ちる。
男女
ギャーーーーーー!
大丈夫?
びっくりしたー。
怪我とかない?
うん。私は大丈夫だけど、相撲取りさんが、
え?
一人に雷直撃したみたい。
…。
早く救急車呼ばなきゃ。
まって、
え?
そんなことどうだっていいじゃん。
でも雷だよ。
普段から鍛えてるんだから、
でも、
俺、ずっと考えてて今日しかないって決めてて、その、つまり、
相撲取りたちに羽根がはえ、公園中を飛びまわる。
ものすごい羽音。
(身をかがめながら)今度はなに?!
相撲取りたちに羽が生えて公園中を飛びまわってるのよ!
え?
仲間が怪我をして興奮してるんだわ!
相撲取りって、相撲取りって。
すごいさすが国技ね。こんなこともできるなんて、
そんなことはどうだっていいんだ!!!
…。
たとえ空が落ちてきても、海がカラカラに干上がってしまっても、俺は、俺、決めたんだ。
何を?
俺と、ケッ、
(上空に何かを発見し)あ!
そんなことはどうでもいい!
見てよ、空!
今度は公園上空にUFO(のようなもの)が現れる。
「ウィンウィン」という不気味な音。
公園中はまばゆい光に囲まれる。
何だあれ?
…国技館よ…
え?
怪我した相撲取りを助けに、国技館が助けに来たのよ!
空とぶ国技館の床のほうから光が降り、怪我をした相撲取りを国技館に収める。
和よ。
え?
和をもって尊しとなす。たった一人の仲間のために国技館まで出動する。さすが日本の国技だわ!
そんなことどうだっていいじゃないか!!!
おわり