私の彼は、もうすぐ三十になりますねん。
はいはい。
作家目指してるとかやらで、長い長~いバイト暮らし。
ほおほお。
毎月、自分の食いぶちすら危ういんですわ。
おやおや。
なのに、子猫を拾ってきやがった。
みゃー。
何がみゃーや、もうっ。
猫好きでしょ。
だから、もう二匹も飼ってるやん。君が拾った猫、二匹も。
あ!サンタさんからのプレゼントちゃうか。
猫、欲しいなんて頼んでないし。
みゃー子、こんなひどいこと言われてるで。引っかいたれ。
名前付けんなー。
でも可哀想やろ。放っといたら絶対に死んでまうねんで。
わかった。
飼っていいの?
子猫の代わりに、ジュンを箱に入れて公園に置いてくる。
え。
もう違う人に飼ってもらいなさい。
え、飼われてたの俺。
知らなかったんや。
そりゃ、ここはヒロコちゃんの家や。けど、家賃は払ってる。
時々ね。
飯は・・・食わせてもらってる。
洗濯も掃除もしてるし、お風呂もわかしてあげるし。おこずかいも時々。
出世払いや。
いつ出世すんねん。
信じられなーい。ヒロコちゃん、なんでそんな男と付き合ってんの。
他人事にしない。
あ、俺か、俺のことかー。はっはっはっ。
私、時々猫見てるとムカツクことがあんねん。
え、なんで。
だって、猫って自分が可愛いこと知ってるんやもん。世話させてやってんねん、こんな可愛い僕のことを、ぐらいにしか思ってないの。感謝なんかこれっぽちもしてないの。
感謝してると思うで、多分、猫なりに。
そうかな。
頼んない奴でごめんな。
え。
寒いやろなあ、外。
出てく気?
・・・。
ねえ。
みゃー子、許せよ。
え、猫?猫を捨てに行くん?
だって、しゃあないやん。
話の流れからいけば、出てくのは君やん。そんで、私が行かないでとか言って、走って追いかけて、熱い抱擁、んで話うやむやになって・・みたいな。
俺は、猫より自分が大事やし。
なんやそれ。
自分より、ヒロコちゃんが大事やし。
私すんごい悪者みたいやん。
ごめんなぁ、みゃー子ぉ。
もう、いい。いいよ、わかった。
いいの?
もうこれ以上は無理やからね。
おう。
飼えそうな人も探してみてよ。
うっす。
・・・なんでこうなるんやろ・・・。
俺、頑張るし。
え、うん。
猫の食いぶちくらいなんとかせなな。
猫だけかい。
終わってまた始まる