西崎
ばってんこ。ばってんこ。カラカラ、カラカラ、ばってんこ。
(演出家のように手を叩き)カット!
西崎
・・・。
それダメ。
西崎
え?
ばってんこ。やめたほうがいい。
西崎
えーマジっすか。でも、
あ、「でも」言った、「でも」って言った。
西崎
いや、でも、これは、平安時代から俺ばってんこなもんだから、
知らない。平安時代とか知らない。だってだって怖くないもん。
西崎
いや、
怖いお化けになりたいんでしょう。
西崎
でも、
西崎
次「でも」って言ったら、私協力しないから、
西崎
あぁ・・・お願いします。
ばってんこ辞めて、普通に挨拶しましょう。「西崎です」って。
西崎
え?普通に?
そっちのほうが絶対怖い。暗闇からいきなり「西崎です」は絶対怖い。
西崎
はぁ。
で?それから?
西崎
「お母さん大事にしてるか?」
やさしいじゃん!
西崎
いやでも、怖いお化けが言うからこそ、
だから怖くないんだって西崎さん!
西崎
でも、
でも禁止!あ、わかった。くらやみから現れて西崎ですって言った後、「知ってんねんぞ」
西崎
は?
「知ってんねんぞ」。相手の顔じーっと見て言うの。
西崎
失礼だよ。
お化けが、何言ってるのよ。
西崎
「何を」って聞かれたら、
その時うすーく笑うのよ。
西崎
脅しじゃん。
お化けが何言ってんのよ。今年の夏は大活躍したいんでしょ。
西崎
だけど、
なに?アンタが相談にのって欲しいって、
西崎
わかったよ。ごめん。
で、去り際なんだけど
西崎
「お母さん大事にしてるか」だけは言わせてよ。これアイデンティティだから、
んー・・・わかった。じゃぁ「おかぁ」まで言わしてあげる。
西崎
えー?
その代わり何回も言っていいから、
西崎
「おかぁ」「おかぁ」って?
そう。
西崎
言いながら帰ってくの?
そう。
西崎
怖いよそんなの!
お化けでしょ、西崎さん!
おわり