そこは、某結婚式場のドレスの試着室。
試着室の中には白いドレスを着たサクラ。外にはシゲルが居る。
なんだか動きにくいし、フワフワしてて甘えた感じだし、それに、なにこのへなちょこでウスウスの生地、こんなのすぐ破けちゃうよ。
それ着てリングで戦うわけじゃないんだから。
あーあ、ぜんぜん似合わねー・・・。
そんなことないって。
見てないのに、どうしてわかるのさ。
・・・想像だけど、サクラは色白いし、背高いし、姿勢いいし似合いそう、いや似合うに決まってるでしょ。
そうかな・・・。
似合わないわけがない!だから、
ちょっと説得入ってない?
んな事ないって。
絶対バカにされちゃうよ。
誰がバカになんかするんだよ。
普段は強がってるけど、お前もやっぱりフツーの女だったなって。
あなたは女でしょ。結婚式なんだよいいじゃないか別に。
だって笑われたら、ムカついてテーブルひっくり返しちゃうかもしんないよ、シャレになんないよ。
とにかくそこから出てきて、見せてよ。
無理。
じゃあさ、似合うか、似合わないかボクが見て決めてあげる。
ダメ、もう着替える。こんなチャラチャラしたもんは私には似合わない。
サクラが着たいって言ったんでしょ。
そうだ!これあんた、着なよ。
え、俺が?
あんたがウエディングドレス着て、私はタキシード。どう?ウケるよきっと。
サクラぁ、理屈に合わないこと言ってるのわかってっか?
あんたこそわかる?そんくらい恥ずかしいの、あんたがドレス着ろって言われたくらい、恥ずかしいの。
じゃあ、着物にするか、着物だったらチャラチャラしてないし、薄い生地でもないし、
ダメ。
何が、どうして。
和風だろ、和風のあのメイクするんだよ。みんなヒキまくりだよ。
もう・・・勝手にしろ。
え。
サクラが着たいもの着ればいいじゃない。オレ知ーらなーい。
ね・・・シゲちゃん。
・・・。
居ないの?
どうすんの。
私・・・私の母さんさ、結婚式挙げてないんだ。だから母さん、すごく楽しみにしてんだ、私のウエディングドレス姿。
そうか、お母さんの為に、
だけど、私は、私だもんな。妹も居るもんな。だからいいよなドレス着なくても。
じゃ、何着るの。
私もタキシードにする。
マジで?
だって、私が着たいもの着ていいって言ったじゃん。
言ったけど・・・本当にそれでいいの?
本当は、本当は・・・着たい、フワフワのブリブリのドレスが着たい・・・小さい頃からの夢だったんだもん・・・。
じゃあ、着なよ。
でもやっぱりさぁ、
ああもう、ああもう、何なんだよ、さっきからコロコロ意見変えやがって。
そんなに怒んなよ、これが、乙女心ってやつよ。ヘヘッ。
終わってまた始まる