女1
(男1を見て)ああ。
男1
おいっす。あのさあ。
女1
ん?
男1
ちょっと、前から言おうと思ってたんだけど、
俺さあ、好きなんだよね。君のこと。
女1
はあ。
男1
でさあ、よかったら、……付き合ってもらえないかなー、
なんて。どう?これ。
女1
あー……私、好きな人いんだよねー。
男1
(慌てつつ)ええ?ああ、そうなんだ。
マジ、え、誰?
女1
(小声で)向こうから歩いてくる人なんだけど。
男1
ああー。へえー、あ、そうなんだ。
女1
ごめんね?
男1
(かぶりを振って)ううん、全然いい。全然いいんだよ。
へぇー。ああ、そうなんだあ。
(などといいつつ、右へ歩き出す)
女1
(左へ歩き出す)
女1
(男2に)……あのお。
男2
おお?
女1
いきなりこういうこというのも何なんですけど、 私、ずっと、見てたんです。
男2
誰を。俺を?
女1
はい。で、よかったら、付き合って、もらえませんか?
男2
俺さあ、……決めてる子いんだよねー。
女1
あー……。
男2
いやまあ、腐れ縁っつうかさあ。わがままで、惚れっぽくて、すぐカッとなる娘なんだけど、
とにかく、俺がいないとダメなんだわ。
女1
そう、です、か。
男2
悪いね。
女1
(明るく)いえ、いいんですそんな。(左へ去る)
男2
じゃ。(右へ歩き出す)
女2
あのさあ
男1
はい。
女2
私あんたに一目惚れしたの。ズッキュンきたの。
男1
ええ!?
女2
でさ、付き合ってくんない?
男1
いや……あの、気持ちは嬉しいんですけど、僕今、振られたばっかなんですよ。
まさに今振られたばっかなんですよ。
女2
ならいいじゃん。切り替えればいいじゃん。
男1
いやいや、さすがにまだ引きずってるっていうか……。
女2
はあ?
男1
なんであの、気持ちだけ、受け取っときます。
女2
ちょっと……
男1
さよなら!(右へ走り去る)
女2
……もう!(泣き喚く。左へ歩き出す)
男2
(渋く)サチ。お前やっぱ、俺がいないとダメだと思うんだ……
女2
うるさい!(振り払う)
男2
いや、ちょっと、サチ?
女2
(泣き喚いて)あんたなんかに何がわかんのよ!
男2
おまえひょっとして、また誰かにほれた?
女2
こないで。
男2
そして振られた?
女2
こないでよ!(振り切り、左へ)
男2
(舌打ち。右へ歩き出す)
男2
(口笛)
女3
(怪訝そうに)……なんですか?
男2
俺と遊ばない?
女3
いいです。(歩き出そうとする)
男2
いやいや、行かないでよ。俺今振られたばっかでさあ。なぐさめてくんない?
女3
やめてください。私、彼氏がいますから。失礼します。(早足で左へ歩き出す)
男2
(舌打ちして、右へ去る)
女2
(突然)惚れた。
男3
(戸惑う)なんですか?
女2
今惚れた。マジ惚れた。ちょっと、私と付き合ってよ。
男3
いやだって、今会ったばっかじゃないですか。
女2
関係ないじゃん。誰か好きな人でもいんの?
男3
いやまあまあ、彼女がいるんで。
(女3を見て)ああ、あの娘です。歩いてくる。
女2
(ビンタ)
男3
痛った!
女2
なんなのよ!(左へ去る)
男3
いやいや、お前が何なんだよ。(右へ歩き出す)
女3
( 出会ってほっとしつつ)おー。
男3
おいっす。
女3
どしたの?そのほっぺ?
男3
いやいやなんか、歩いてたらコクられて、断ったらビンタされた。
女3
マジで!?何それ?
男3
まあまあ、気にすんなよ。 今日、どこ行く?
女3
んー……(考えて)ここがいい。
男3
おお。
END