- コンピューターに向かう男。
コンピューターは女の声。
「ピコッ」という、ビープ音。
- 男
- (おぼつかない手つきでキーボードを打ちつつ)ヤ・マ・ダ・ミ・ノ・・・・・ル、と。
- リターンキー。
「ピコッ」という、ビープ音。
- 男
- よし。(マウスを動かしつつ)・・・・ここまでは、OKなんだよ・・・・。で、接続。(クリック)
- 「ジャン!」という、警告音。
- 男
- (ため息)これが分からないんだよ・・・。これか?(再度クリック)
- 「ジャン!」という、警告音。
- 男
- ・・・・・あのさあ、俺、なんのためにお前を買ったかって言うとね、アダルトサイト見るためなんだよ。ぶっちゃけ言うと。
俺結構、こういうことぶっちゃけて言うんだけど、だから、サーバーとか本当、どうだっていいんだよ。
アダルトサイトさえ見れりゃいいんだよ。俺そういう人間なんだよ。・・・・いい?いくよ?
- 3たびクリック。
「ジャン!」という警告音。
- 男
- そうだよな。上に訴えたって、お前こたえてくれないよな。
だったら実力行使さよ。・・・・これか。
- 男、フロッピードライブを抜く。
「ジャン!」という、強い警告音。
- 男
- (慌てて)ごめんなさい。違った・・・・・。(男ドライブをさす)
- 「ピロロッ」という、ビープ音。
- 男
- (ホッと一息)これはデバイスか・・・。じゃあ、これだ。(ダブルクリック)
- ソフトの立ち上がる音。
- コンピューター
- 次のオプションから選択してください。1、レジストリの設定を変更、2、ユーザーのセッションを・・・・・
- 男、慌てて何度もクリック。終了する。
- 男
- あぶねー。深い領域に入り込むとこだよ・・・・
- 男
- ん?何?
- 男、クリックをいっぱいする。
「ジャン!」という警告音。
- コンピューター
- (ちょっと重なって)リソースが足りません
- コンピューター
- このプログラムは、不正な処理をおこなったため、強制終了します。
- ソフトが終了してしまう。
にっちもさっちも行かない。
- 男
- ・・・お前さあ、・・・俺が好きなんだろ。だから、俺にアダルトサイト見せてくれないんだろ。
なあ。どうなんだよ。え?
- 「ジャン!」という警告音。
- 男
- 知らないよ。コンピューターのくせに人間に惚れてんじゃないよ。・・・なあ、見せてくれよ。
- 男、いっぱいクリックする。
このあたりから、テクノの音楽が入ってくる。
「ジャン!」という、警告音。
- 男
- なあ、見せろよ。
- 男、さらにいっぱいクリックする。
以下、様々な警告音や、ビープ音。
- コンピューター
- むやみにクリックしないでください。
- コンピューター
- クリックの回数が多すぎます。
- 男
- (笑って)こうしてやる。
- 男、デバイスを抜く。
- コンピューター
- リソースが足りません。
- コンピューター
- デバイスを抜かないで下さい。
- コンピューター
- 新しいデバイスが見つかりました。
- 男の息、どんどん荒くなる。
テクノも、それに伴って激しくなる。
- コンピューター
- そこはクリックしないで下さい。
- 男
- 愛してるんだよ。
- コンピューター
- 新しいデバイスが見つかりました。
- コンピューター
- 新しいデバイスが見つかりました。
- コンピューター
- ヤジマミノル様
- コンピューター
- デバイスを抜かないで下さい。
- テクノ止まる。
- コンピューター
- リソースが不足しました。シャットダウンします。
- コンピューターがシャットダウン。まるで、力が抜けるように。
- 男
- ・・・・・俺たち、いつもこうだよな・・・・・。
- END