- ※ 12 人の腹筋さんが口々に喋ります。
※「 F 」はすべて腹筋さんです。F1 から F12 までいるのですが、区別はないので、すべて「 F 」と表記します。
※「 H 」は平野さんです。
-
部屋。
- F
- お前、誰やねん。
- F
- お前こそ誰やねん。
- F
- いやお前が誰やねん。
- F
- 俺は俺やっちゅうねん。
- F
- いや俺が俺やっちゅうねん。
- F
- いやいや俺やん、俺は。
- F
- 俺が俺やん。お前誰やねん。
- F
- だから俺やっちゅうねん。
- F
- っていうかお前何やねん。
- F
- いやお前が何やねん。
- F
- だから俺は俺やって。
- F
- せやから俺が俺やん。分かるやん。
- F
- だからそれは俺やん。顔一緒やん。
- F
-
っていうか、お前ら全員、誰やねん。
- 皆
- お前が誰やねん!
- F
- 俺はだから俺や、言うてるやん。
- F
- ちょっと待って。とりあえず一旦、整理しよ。
- F
- なんでお前が仕切んねん。
- F
- うん。お前何やねん。
- F
- 何やって、誰かが仕切らんと。
- F
- っていうかお前誰やねん。
- F
- だから俺は俺やん。そのお前が誰やねん。
- F
- だから俺やっちゅうねん。俺が俺やっちゅうねん。
- F
- もうええゆうねん。せやから、とりあえず、俺は、あれやな。……腹筋善之介やな。
- 皆
- うんうん。
- F
- それは合ってるよな。
- F
- 腹筋善之助や。
- F
- 合ってるよ。
- F
- 異議なし。
- F
- 右に同じや。
- F
- お前、しょうもないこと言わんでええねん。
- F
- いや、しょうもなないやん。どこが……
- F
- しょうもないやん。
- F
- お前しょうもないねん。
- F
- いやお前がしょうもないねん。俺はお前やから。
- F
- いやお前だけしょうもないねん。
- F
- お前誰やねん。
- F
- だから俺は俺やん。
- F
- だからもうええっちゅうねん。だから、あれやな。朝起きたら、こう……増えてたんやな。
- 皆
- うんうん。
- F
- 増えてた。
- F
- めっちゃ増えてた。
- F
- えらいことなってたわ。
- F
- びっくりしたー。
- F
- わけ分からん。
- F
- 朝起きたら増えてるて……。
- F
- っていうかこれ、 10 人ぐらいいるんちゃう?
- F
- もっといるやろ。
- F
- 1 、 2 、……
- F
- 12 、 3 人いるんちゃうか?
- F
- 部屋にもう入りきってないやん。
- F
- あいつなんかちょっとはみ出してるし。
- F
- 俺やろ。
- F
- っていうか、俺多分これ、寝ぼけてるんやわ。……もう 1 回寝よ。
- F
- いやいや。
- F
- 何で布団入んねん。俺のベッドやのに。
- F
- いやいや、俺のベッドやん。
- F
- いやいや、俺のやん。
- F
- は?
- F
- ちょっと離せや。
- F
- せやから俺のやっちゅうねん。
- F
- だから、けんかすんなよ!自分同士で!
- 皆
- お前仕切んなや!
- F
- お前さっきから仕切んなや。
- F
- なんか上からモノいうなや。
- F
- ……もうもう、とりあえずだから。こうなった原因、考えな。
- F
- 原因言ったってなあ……。
- F
- 人が増えるって……。
- F
- どういう現象なんやろ……。
- F
- ( 思いついて ) あれは?こう、ベッドから落ちて、なんか増えた。こう、男と女が入れ替わる、みたいな……。
- 皆
- いやいや……。
- F
- 意味分からんわ。
- F
- それなんかドラマやし。
- F
- 「俺があいつで、あいつが……」
- F
- それほんで増えへんやろ。
- F
- あー……。
- F
- ( 思いついて)これな、……俺の夢ちゃう?
- 皆
- いやいや。
- F
- 勝手なこというなよ。
- F
- 何でお前が主人公やねん。
- F
- いやいや、だから、お前らが全員、俺の夢の産物で、
- F
- いやいや。
- F
- 何でやねん。
- F
- それいうんやったら、これむしろ俺の夢やわ。
- F
- いやいや、俺の夢やっちゅうねん。
- F
- 何でやねん、俺の夢や。
- F
- 俺のや。
-
皆、パンパン頬を叩く。
- F
- 起きろ。起きろ。
- F
- 目覚ませ。目覚ませ。
- F
- おい。起きろ。
- F
- 夢やから。これは夢やから。
- F
- (叩くのをやめて)痛った。
- F
- 痛ー。
- F
- 夢ちがうわこれ。
- F
- 現実や。
- F
- どうやらそうみたいやなあ。
- F
- 痛ー。
- F
- リアリズムや。
- F
- (痛がって)つー。
- F
- お前いらんこといわんでええねん。
- F
- いやだからええやん別に。
- F
- 何やねんリアリズムって。
- F
- だから現実ってことやん。ええやん。
- F
- 誰やねんお前。
-
皆、もめる。
- F
- これな、嫁に聞いたらええねん。
- 皆
- おー。
- F
- 嫁な。
- F
- あいつやったら、誰が本物か証明してくれるやん。
- F
- おお。
- F
- 本物は、俺やけどな。
- F
- だから俺やっちゅうねん。
- F
- もうだから、とりあえず嫁に聞こうや。
- F
- 嫁ー。
- 皆
- (口々に)嫁ー。/来てー。
-
H 、入ってくる。
- H
- ええ!?
- F
- おお。
- F
- 俺が、お前の旦那やんなあ?
- F
- いやいや、俺やんな?
- F
- 違う、俺が本物やんなあ?
-
皆、口々にたずねる。
- H
- ……あんたも増えたん?
- F
- (皆)……え?
-
H 、たくさん入ってくる。
- H
- うわ、ちょっと何?
- H
- うっわ、めっちゃいるやん!
- H
- えー。
- H
- 何?ちょっとどういうこと?
- H
- あんたらも増えたん?
- F
- 何や、お前らも増えたんか。
- H
- うん。いや、本物は私なんやけど。
- H
- だから私やって。
- H
- 私やって。
- F
- お前ら知らんけど、こっちは俺が本物やで。
- F
- だから俺やっちゅうねん。
- F
- お前誰やねん。
- H
- あんたら何よ。
- H
- あんたやん。
- F
- っていうかこれ何やねん。
-
・
・
・
大混乱。
- END