- 幼なじみの2人。コウスケの実家、こたつの中でまったりするコウスケとヒロ。TVはゴールデンタイムの番組放送中
- ヒロ
- ねー、コウスケ、あんたあさって出発やろ。こんなコタツでゴロゴロしてていいの?
- コウスケ
- んー?んー。
- ヒロ
- こらー、準備は?コウスケ。
- コウスケ
- ヒロ、お前こそ、人ん家でみかんばっか食うてる場合かいな。ほら、タロウ吠えまくってんで。そろそろ散歩の時間ちゃうん。
- ヒロ
- ぶっぶー。今日はお父さんがタロウの散歩行ってくれんの。あたしはおばちゃんにたのまれて留守番に来てやってんねんから。ついでに君のごはんの世話と。
- コウスケ
- え、ああー。今日同窓会とか言うとったなぁ・・・。
- ヒロ
- せやから焼き飯しに来たったんやん。
- コウスケ
- ・・・いうてもおかん、まだけっこういけてるから、誰かええ相手おらんかなぁ。同窓会ってそういうハプニングとかないんかなぁ・・・なぁ、ヒロ。
- ヒロ
- ハプニング?どうやろな。ま、おばちゃんべっぴんやから、そらあるかもやけど、何コウスケ新しいお父さんほしいん?
- コウスケ
- なんでやねん、ちゃうやん。俺、北海道行ってまうやろ、いうたら永住や。
- ヒロ
- 獣医さんやもんな。コウスケ先生。
- コウスケ
- まだまだ当分は見習いやけどな。「コウスケくん」って感じよ。でな、そんな俺にしてみたら、この先おかん一人でずーっとおられるより、誰か気のええダンナか彼氏出来ました。っていう方が安心やもん。心おきなく北海道ライフをエンジョイできるじゃん?
- ヒロ
- なんで標準語やの。大丈夫よ、プチ獣医さん。何かあってもとなりに私ら住んでるし、私もタロウもしょっちゅう遊びに来るしさ。
- コウスケ
- 、あいつなぁ。あいついっつも土足やからなぁ。
- ヒロ
- しょっちゅうおばちゃんにどつかれてるもんな。バカタロウ。
- コウスケ
- 根性あるで。
- ヒロ
- まあ、コウスケは安心して、牛やブタや犬のお世話しちゃてよ。
- コウスケ
- 牛やブタや犬ね、犬・・・あれ?
- ヒロ
- あっ!タロウ?!(いつの間にかタロウが侵入)
- コウスケ
- おっタロやん。
- ヒロ
- あんた、こらまた!えー玄関開けっぱなしやったっけ。お父さんは?
- コウスケ
- おっちゃんおいて来たんか、え?うわ、おまえ足ドロドロやんけ。なにこれ。
- ヒロ
- マジ?もうバカタロウ。ドロドロ。おこられんで。
- コウスケ
- いっぱい足跡つけたなぁ。
- ヒロ
- いいかげんにしいや。あんたこのクセ直さんと、いつかおばちゃんに鍋にされるで。ちょっとコウスケ、こいつつかまえとって。はよ掃除せな。ぞうきん、ぞうきん。(台所へ走って行く)
- コウスケ
- はいはい。しかし、何でこんなドロんこなんや、君は。
- ヒロ
- (台所から)あれちゃう?いっぺん庭に埋めたパン、またほじくり返してたんちゃう?
- コウスケ
- あー、それ得意やもんな。
- ヒロ
- なんであんなんすんのやろ、わからんわ
- コウスケ
- やって。(タロウに)
- ヒロ
- (ぞうきんを水でぬらしつつ)そんなパンごとき、いちいち隠したり、ほじったりせんでもなんぼでもあげんのに。コウスケ うん。けど、あれやねんな、タロウ。大事なもの、ちゃんとしまってるだけやねんもんな。そんで、たまーにふっと憶い出したり、気になったりしてちょっと様子見てるだけやねんもんな。(少しの間、タロウをなでるコウスケ)おつとめ、ごくろうさまや。
- ヒロ
- (遠くで)うわー。玄関まで続いてるぅー!
- コウスケ
- はぁ、俺も気になること、心配なこと、一杯残して行かなあかん。あっそうやねん。俺遠くへ行くんや。北海道。さむいさむいとこや。タロウ、あとよろしくやで。おかんもお前のことようどつくけど、言うてもな、寒い雪の日に生まれたてのお前をやな、コチコチなってたのを拾って来たんはあの人やねんで。うん。ほんで、俺も一緒になって、2人して泣きベソしながらこうやって抱っこしとったんや。俺、獣医になるねん。ちょっとむつかしいな。ようするに、あんときのお前みたいに、寒くて死にかかってるようなヤツを、出来るだけたくさん抱っこして、あっためてやるんや。そのために、ちょと遠くへ行ってくる。ああ、心配せんでもええ。色々大変やろうけど、お互い様やしな。そやからな、お前の大切なパンのついででいいから、俺のかわりにたまにこうして様子見に来たってくれな。(しばらくタロウをなでるコウスケ)
- コウスケ
- ほんで、ほんでな。ヒロ、あいつや。あいつ絶対お前よりアホや。ま、ようわかってるとは思うけど。散歩の途中とか、危ない目にあわんように注意したってくれや。あいつはいっつも自転車にひかれてるしな。あと、ヒロに変な男が寄ってこんように、タロウ、おまえしっかりせえよ。おまえのこのセレクト・アイ?いやセレクト・ノーズに、もう全面的におまかせするからな。お前は気づいてたやろうけど、実はヒロのこと、けっこう好きやってんやん。ハハハ、ええねん、けど幼なじみの恋ってのは、まあ、こんなもんやねん。ええねん、ええねん。お前も俺も、まあまあプレイボーイな方やけど、実は以外に一途やったりするもするんよな。…。そやから、たのんだで。俺のかわりに。色々と、たのんだで。タロウ。
- ヒロ
- あーっ、今何時?何時?コウスケ、今何時?って。
- コウスケ
- えっ?えーっとー・・・8時やな。もうなるで8時に。
- ヒロ
- うそやーん。8時だよ全員集合、始まるやん。今日こそ、生ムギ生ゴメ生タマゴ言えるようになんねんから。
- コウスケ
- 生ムギ生ゴメ…(ゴニョゴニョ)。
- ヒロ
- はやくはやくはやく4チャン4チャン!
- コウスケ
- はいはいはい。おまえほんまに8時だヨ好っきやな。
- ヒロ
- イエーイ!(全員集合のテーマ盛り上がる)
- コウスケ
- タロウ、まじたのんだで。あとよろしくな。
- ♪8時だヨ!全員集合のテーマ♪
- 了