- 丘の上、空には雲。草にねころぶ二人
- 女
- 気持ちいい!!
- 男
- うーん。おれ、今、鷹の気分だな。
- 女
- おっとー、今日は鳥できたな。
- 男
- 目が鋭くて。りりしくって…。
- 女
- そう。じゃあ、私は…鷲。
ワシーッとあなたをおそってやろう。
- 男
- それ、うまくないよー。どうせなら同じものになろうよ。
…猫。
- 女
- いいわ。かわいくて、毛並みつややかで、白いふわふわの猫。
レースの揺れる窓辺に優雅にすわっていの。
あなたは…いつも私を憧れの眼差しで見てるのら猫。
- 男
- 広い外の世界で自由に生きている猫。自由猫さ。
- 女
- そうかな?太りすぎちゃって、木には登れないし、
バク転しては目を回すしー。
- 男
- 強くって、ハンサムで、耳の切れた灰色の猫って
いやあ、この辺りじゃあ知らない者はないぜ。
- 女
- 窓の下に来ていつも私を呼ぶのね。
- 男
- ニャーオーン…
- 女
- ふふふ…ママさんに頼んであげてもいいわよ。
夕食は大好きなマグロの缶詰、牛乳だって飲み放題よ。
ねぇ、うちにいらっしゃいよ。
- 男
- 何いってんだよ。こうなったら奥の手だな。
ミャオーン…ボードレールで迫るぞ。
悪魔から、また神からつかわされても、
天使でも、人魚でも、
かまうものか??ビロードの眼の妖精よ、
律動よ、薫りよ、光よ、
おお、ぼくのただひとりの女王!?
- 女
- きっと悲劇よね。かなわぬ恋になるわ、きっと…
- 男
- 止めた、やめた。猫はやめたぞ。…
…くじら。おれ、くじらになる。
豪快に潮を吹いて、得意のクロールで…
- 女
- もう!なりきれないんだから。
くじらはくじら泳ぎよ。
- 男
- 南氷洋の真っ青な海、赤い太陽が沈んでいく。
- 女
- いい! ロマンチック!
- 男
- 俺は君を抱き寄せる…
- 女
- 待って。私、マンボウがいい。
- 男
- そんなぁー同じものになろうよー
- 女
- いいじゃない。くじらとマンボウのツーショット。
マンボウはゆらゆら揺れながらくじらのジャンプを
見てるのよ。力強いな、いいなぁって。
- 男
- そう?じゃあ3回転ジャンプをみせてやろっか。
- 女
- きゃあー
- 男
- なんだよう。
- 女
- 波が強くって、岩にたたきつけられたじゃないの、もう!
- 男
- なんかうまくいかないなー。
よし、これで決まりだ。天然記念物。
これ以上はないぜ。
おれはイリオモテヤマネコ。
- 女
- あっ、自分ばっかり…
- 男
- 君にもいいの考えてやったよ。
レッサーパンダ。
のらのレッサーパンダ。
海を渡っておれに会いに来たんだ。
- 女
- あっ、勘違い。冒険を求めて海を渡ったのよ。
もっと、もっと南に行くの。せっかく会えたのに
残念だわ。
- 男
- そんなー、ここにいろよ。おれが面倒みてやるし。
- 女
- ダメ。血が騒ぐの。
私はアドベンチャーレッサーパンダなの。
- 男
- 思うようにいかないなぁー
- 女
- あしたは、カエル。
長雨でたいくつしているあなたのそばで歌ってあげるわ。
あさっては、羊。
眠れないあなたのために
友達一万匹連れていってあげる。
しあさっては、アンドロメダ星人。
そのつぎは…