第45話 (97/02/07 ON AIR)
『リクエスト・フォー・ユー』 作:飛鳥 たまき



 

(車の中、カーラジオから音楽が流れている)
DJ
(クッキー)
・・・〃クッキーのリクエスト フォー ユー〃 次のリクエストは・・・ <和田先輩、お元気ですか?あと一週間ですね。何 もできないけど応援してまーす。がんばってくだ さーい> ってメッセージくれたのは神戸市灘区のまみちゃん。 ワダ君は受験生かな?リクエスト曲は(キーディ/ プリティ・ボーイ)クツキーもしてま~す。
良介
 
・・・土曜日朝、十時二十一分、新神戸着・・・ 神戸は初めてって言ってたよな、夏海・・・どこへ 行こうかな・・・・・ほんと遠いよな・・・
  (クラクション)
良介

・・すごいことだぜ、夏海・・五〇〇キロも離れた 二人が熱ーい想いを抱き続けるっていうのは・・・

DJ
(クッキー)
続いてのリクエストは<会いたいよー>と一言。 姫路市のキキさんからクー君へ。 OK!かけちゃうよー。(シャイ)(If I ever fall in love)
良介 『遠距離なんて自信ない』 脅すようにいったあと、うつむいた夏海。 俺だって・・・自信なかった・・・でも・・ 会えない時にこそ、夏海のこと思ってる 自分に気づいた・・・今度の土曜日、何がなんで も休むぞ!
 
(クラクション)
良介 「おい、おい、赤だろう、赤」 こうなんだよ、夏海。こっちじゃあ赤信号は注意 して渡ろうっていうんだ。
DJ
(クッキー)
さあ、どんどんいきまーす。
  <失恋してん。忘れよう思うても忘れられへん・・ めっちゃ好きやった・・・私自身にリクエストしま す。(アン・ルイーズ/ステイ)ぜったいかけて> いいよ。みほちゃん。うすーい胸だけど、かして あげる。みほちゃんに(アン・ルイーズ/ステイ)
良介 ・・いいよな、人をめっちゃ好きになるって・・・ 『そうそうあることじゃないんだぞー実はすごいこ となんだぞーえらいんだぞー』・・うん、俺もそう 思う。夏海の言うとうり!
DJ
(クッキー)
神戸は須磨区のジュンからマーコへ。 <夕日みてるかー>のfaxメッセージ。 わあ、ほんとーきれいー。 クッキーからもおすすめ。 家にいる人はいそいで窓をあけて、ドライバーの みなさんはちょっとわき見して、 夕日みてくださーい。 リクエストは(モンキーズ/デイドリーム・ビリー バー)
良介 ・・・あれ!?俺らのラッキーナンバー・・・
  (口ずさむ)
良介 この曲を聞くと何かいいことあるんだよな・・・ 出会った時だろう・・・就職決まった日だろう・・ ・・初めてのデートの日だろう・・・ おうー、夕焼け・・・
DJ
(クッキー)
(モンキーズ)の(デイドリーム・ビリーバ)でした。 <良介 元気ですか。次の休み神戸に行くか らねーー> 川崎のナツミちゃん、川崎?ああ神奈川県の川崎市、 遠くからのリクエストありがとう。 神戸のリョウスケ君、あなたへです。 (マイケルジャクソン/ヒール・ザ・ワールド)。
良介 リョウスケ?・・・えっー?川崎のナツミ?・・・ エーッ?!おれ??・・・俺だよー・・・
  小春日和の一日だった。空も、仕事も、気分も。 もやがかった空気は夕陽ににピンクに染まっている。 道は一直線に東向き。俺はバックミラーにすっぽ りはまった太陽を見ながら走っていく。 やがて空は群青色に変わり、車の赤いテールラン プが次々つき始めた。 土曜日朝、十時二十一分、新神戸着。 五日たてば夏海に会える。