第12話 (96/06/21 ON AIR)
『丘の上の二人』 作:飛鳥 たまき


(丘の上、空には雲。草にねころぶ二人)
気持ちいい!!
うーん。おれ、今、鷹の気分だな。
おっとー、今日は鳥できたな。
目が鋭くて。りりしくって…。
そう。じゃあ、私は…鷲。
ワシーッとあなたをおそってやろう。
それ、うまくないよー。どうせなら同じものになろうよ。
…猫。
いいわ。かわいくて、毛並みつややかで、白いふわふわの猫。
レースの揺れる窓辺に優雅にすわっていの。
あなたは…いつも私を憧れの眼差しで見てるのら猫。
広い外の世界で自由に生きている猫。自由猫さ。
そうかな?太りすぎちゃって、木には登れないし、
バク転しては目を回すしー。
強くって、ハンサムで、耳の切れた灰色の猫って
いやあ、この辺りじゃあ知らない者はないぜ。
窓の下に来ていつも私を呼ぶのね。
ニャーオーン…
ふふふ…ママさんに頼んであげてもいいわよ。
夕食は大好きなマグロの缶詰、牛乳だって飲み放題よ。
ねぇ、うちにいらっしゃいよ。
何いってんだよ。こうなったら奥の手だな。
ミャオーン…ボードレールで迫るぞ。

 悪魔から、また神からつかわされても、
 天使でも、人魚でも、
 かまうものか--ビロードの眼の妖精よ、
 律動よ、薫りよ、光よ、
 おお、ぼくのただひとりの女王!-
きっと悲劇よね。かなわぬ恋になるわ、きっと…
止めた、やめた。猫はやめたぞ。…
 …くじら。おれ、くじらになる。
 豪快に潮を吹いて、得意のクロールで…
もう!なりきれないんだから。
くじらはくじら泳ぎよ。
南氷洋の真っ青な海、赤い太陽が沈んでいく。
いい! ロマンチック!
俺は君を抱き寄せる…
待って。私、マンボウがいい。
そんなぁー同じものになろうよー
いいじゃない。くじらとマンボウのツーショット。
マンボウはゆらゆら揺れながらくじらのジャンプを
見てるのよ。力強いな、いいなぁって。
そう?じゃあ3回転ジャンプをみせてやろっか。
きゃあー
なんだよう。
波が強くって、岩にたたきつけられたじゃないの、もう!
なんかうまくいかないなー。
よし、これで決まりだ。天然記念物。
これ以上はないぜ。
おれはイリオモテヤマネコ。
あっ、自分ばっかり…
君にもいいの考えてやったよ。
レッサーパンダ。
のらのレッサーパンダ。
海を渡っておれに会いに来たんだ。
あっ、勘違い。冒険を求めて海を渡ったのよ。
もっと、もっと南に行くの。せっかく会えたのに
残念だわ。
そんなー、ここにいろよ。おれが面倒みてやるし。
ダメ。血が騒ぐの。
私はアドベンチャーレッサーパンダなの。
思うようにいかないなぁー
あしたは、カエル。
長雨でたいくつしているあなたのそばで歌ってあげるわ。

あさっては、羊。
眠れないあなたのために
友達一万匹連れていってあげる。

しあさっては、アンドロメダ星人。

そのつぎは…