第233話 (2000/09/15 ON AIR) | ||
---|---|---|
『秋桜』
|
作:深津篤史 |
女 |
あいかわらず暑いね |
男 |
ああ |
女 |
熱帯夜 |
男 |
クーラーつければいいじゃん |
女 |
秋だよ |
男 |
うん |
女 |
九月 |
男 |
うん |
女 |
もうじき10月 |
男 |
ああ、そだな |
女 |
風吹かないかなあ |
女、カラカラと何かをゆらした |
|
男 |
いい加減しまえよ、それ |
女 |
だって風流じゃない |
男 |
もうじき10月なんだろ |
女 |
夏の思い出 |
男 |
ふつうするか、そういう事 |
女 |
何よ |
男 |
何だろ自由研究小学校の宿題 |
女 |
小学生レベルで悪かったわね |
男 |
ふつうやらんよ、そういう事 |
女 |
可愛いい女? |
男 |
海、行ってないじゃん |
女 |
雨ふんだもん |
男 |
日頃の行いが悪いから |
女 |
どっちが |
男 |
こっち? |
女 |
夏、彼氏が海に行きました。 |
男 |
絵日記? |
女 |
海のにおいがしました。彼氏も海のにおいが |
男 |
汗だって |
女 |
当たり前じゃん |
男 |
うん |
女 |
貝ガラはきれいに洗って、風りんをつくりました。 |
女、再びカラカラとゆらす |
|
女 |
こわい、こういうの? |
男 |
いや |
女 |
おんねん、みたい |
男 |
(少し笑って)海か |
女 |
すっごい楽しみにしてたんだから |
男 |
ああ、うん |
女 |
私の耳は貝のカラだっけ? |
男 |
え |
女 |
何か詩でそういうのなかった? |
男 |
いや、わかんないけど |
女 |
私の耳は |
男 |
え |
女 |
なめてみる? |
男、女に顔を近づけた |
|
女 |
息がくすぐったい |
男 |
だって |
女 |
あ、ちょっと< |
女、やっぱり笑ってしまう |
|
女 |
ごめん、スイッチ入ったかも |
男 |
かいでみたんだって |
女 |
海のにおい? |
男 |
いや、わかんない |
女 |
耳、くっつけて |
男 |
え |
女 |
私の耳とこうやって |
男 |
え |
女 |
耳と耳 |
男 |
うん |
やや間 |
|
男 |
何 |
女 |
がまんして |
男 |
そっちだろ |
女 |
うん |
やや間 |
|
女 |
海の音 |
男 |
そうか |
女 |
海の中にいるみたいでしょ |
男 |
ああ、うん |
女 |
目つぶって |
男 |
うん |
女 |
今日ね |
男 |
うん |
女 |
おむかいの空き地でコスモスがさいてたよ |
男 |
ああ |
女 |
夏もおわりだね |
男 |
海、行こうか |
女 |
え |
風が貝ガラの風りんをゆらした |
|
女 |
あ |
男 |
秋の海、もう泳げないけど |
了 |